第7話 帰らぬ騎士と襲われた理由

娘と奥さんが見えなくなったのを確認して店主が口を開く

「詳しく話すと事の発端は半年くらい前になります。

見ての通りこの街はあんまり活気がある街でもなければ

名産品もろくにない廃れた街です。

そこに一人の男がやってきました。その男は、赤い目をしニヤニヤと笑みを

浮かべながら街の会う人々に大農園への道筋を聞いて回っていました」

「そいつが事の発端だと?」

「えぇ、それから1カ月程経った頃定期的に出荷されて来るはずの

食糧が来ないことに気が付いた街の男数人と街の長は

大農園の様子を見に行ったのですが、

誰一人として帰ってきた者はいなく、仕方なく隣り街の騎士に

頼み込んで様子を見に行ってもらうことになり

3人の騎士が大農園へ向かいました。」

話している店主に食事を進めているレインが割り込む

「3人?4人じゃなくてか?」

「えぇ確かに3人でしたけど、どうかなされましたか?」

「俺が大農園で見た騎士は確かに4人だった」

「大農園に4人の騎士ですか?

・・・もしかしたらそれはその後に来た聖騎士かもしれないですね。」

「その後?その後から来た4人の聖騎士はあんたを

襲った騎士と同じ刻印がある鎧を着ていたか?」

「えぇ言われてみれば、そうですね」

「・・・なるほどな、で最初に大農園に向かったっていう

3人の騎士はどうなったんだ?」

「それがですね、1人だけ帰ってきたのですが、

あの大農園には化け物がいる。

みんな殺されたと言ってずっと怯えていまして、

その後大農園のことが国で公となり国がやっと1カ月ほど前に

聖騎士団を派遣して4人の聖騎士が街にやってきたわけなんです。」

「それが大農園にいた騎士ってわけか、

しかし国も聖騎士団も半年も異変を見て見ぬふりって

この国は治安があんまよくないのか?」

「いえいえ、国のせいではありません。

このエイン国家の中心部の首都ロイートなんかは

とてもいい街ですよ。

国の治安問題ではなく街のせいですよ、

こんなすたれた街おそらく国にとっては

どうなろうとさほど問題ではないのですよ」

レインは呆れた風にため息をついた

「はぁ~~、それは完全に国が悪いな

普通どんな街であろうと自分の国が

問題を抱えているときに見て見ぬふりはしないと思うぜ。

少なくとも俺の住んでた国じゃあ国の問題は

聖騎士がさっさと片付ける。

まぁそんなこと飲食店の店主のあんたに言ったって

しゃーないか、すまない話がそれちまった。

ところで1カ月前にやってきた聖騎士とあんたらが

今回襲われたことに何か関係があるのか?」

レインの質問に対し頭を掻きながら店主が答える

「・・・本当のことを言っただけなんです。

正直に今話した事を言って、派遣された4人の騎士が

大農園に行ったきり帰ってこない事、

そして大農園の化け物は退治された事・・・」

「それだけか?まだ何か隠してるな?」

「・・・娘が余計なことを言ってしまったからですかね」

そこまで言うと店主は黙ってしまった

「いったなにを言ったんだ?」

「・・・お兄ちゃんが大農園の化け物を退治して

この街を助けてくれた。でもお兄ちゃんはケガしてるから

今はお部屋で休んでるといった後、

騎士の一人がどんなケガだと聞いて噛まれたような傷と

娘が答えたらあんな状況になったわけです」

「なるほどな、あいつらが俺の傷見て

吸血鬼って言ったわけだ、笑えねぇ冗談だぜ」

思い出した様な表情になった店主は恐る恐る聞いてみる

「あの、そういえばあの騎士も言っていました。

吸血鬼を匿ってる者の処罰は死罪だとか言ってましたけど、

なんのことなんですか?」

残っていた料理の食べきり口を拭った後店主の質問に対し答える。

「よし、じゃぁ特別に大農園の化け物の

正体について教えてやるよ。」

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