第3話 全裸のハンターと娘と母
少女に手を引かれながら2階へと案内される。
建物の2階はどうやら店主と家族が
生活しているらしく、まず浴室に案内された
「お兄ちゃんの服、汚れてるからノノが洗ってあげる」
そう言われ手を差し出す少女にコートを渡す
「ありがとな、じゃぁお願いするわ」
そうして浴室に入りシャワーを浴びた、レインの
足元には昨晩の吸血鬼に受けた傷から血が
お湯と共に流れていた。
シャワーを浴び終わると無言で浴室のドアを開けた。
「きゃあぁ!!」
悲鳴の先には店主の奥さんが娘と洗濯をしていた。
つかの間の沈黙の後レインが引きつった様な表情で
顔をそむけている奥さんに向い細々とあいさつをする
「・・・どうもぉ、お邪魔してまーす」
シャワーを浴びたレインに無邪気な笑顔のまま少女が
タオルを手渡す
「はい!!お兄ちゃんタオル!!」
(えぇぇぇまじかよ・・・うぉい!!)
ますます顔が引きつりながらお礼を言う
「あ・・・ありがとぉ・・・」
タオルを受け取り浴室に戻り急いで身体を拭いた後浴室の
ドアを少し開け様子を伺う。
後ろを向いたまま奥さんは娘に小声で何か話している
「なんで、お客さんがいること言ってくれなかったの!?
パパが入ってると思ったじゃない」
「ママね!あのお兄ちゃんすごいんだよ!!・・・」
娘が説明する途中で奥さんが店主のことを聞く
「ねぇノノ?パパどこ行ったか分かる?
お店の方にもいないみたいし、お店の看板は外に出てないし、
探したけどどこにも見当たらないのよ」
娘は正直に店主が大農園に行ったことを伝えた。
「パパはね、おいしい料理を作るんだーって
さっき大農園に行ったよ!!」
奥さんは両手を手元に、少し震えながら
驚いた表情で声を荒げた。
「えっ!?大農園に!?なんで、
あそこには・・・化け物がいるのに!!どうして」
少し震えた奥さんにニコニコと笑顔を見せながら娘が
話しを続ける
「大丈夫だよママ、あのお兄ちゃんが大農園にいって
化け物さんをやっつけてくれたの!!」
両手を広げ嬉しそうに説明する娘の頭を撫でながら、
奥さんが浴室のドアの方に視線を移す。
少し開いたドアから顔を出しているレインと一瞬目があったがすぐにそらした。
「大農園の話、娘から聞きました化け物を
倒したというのは本当ですか?」
「あぁ倒した。だからもうこの街の食糧の問題は
心配ないと思うから安心してくれ」
本当の事を伝えると、奥さんは立ち上った。
「コート、洗い終わったら部屋の前に置いておきますね。」
うつむいていた顔は少しほっとしているように見えた
「ほらノノお兄ちゃんの着替える邪魔になるから部屋の外に出るわよ」
「はぁーい」
そう言うと娘の両肩を押しながら部屋を出た。
着替えが終わり、ドアを開けると奥さんの姿はなく娘が
一人待っていた。
「お兄ちゃんまだ眠い?」
「あぁ、すっげぇー眠い」
大きなあくびをしながら即答で答えた
「ん~、眠いんじゃ仕方ないか、じゃあお部屋に案内するね」
少しがっかりした様子で手を引かれ部屋に案内された。
少女は一緒に遊んでほしかったらしくそれを察した
レインは少女の頭に手を置きしゃがんだ
「なぁ、起きたら一緒に遊ぶか?」
「うん!お兄ちゃんが起きたらノノが街を案内してあげるね!」
「あぁ、楽しみにしてるよ。じゃあもう寝るわ、おやすみ」
部屋の中に進みながら手を軽く振る
「おやすみなさい!!」
少女が手を振り、レインは少し微笑みながら部屋のドアを閉めた。
部屋を見渡すとベットとテーブルに椅子が置かれた
シンプルな部屋で窓からは明るい日差しが射し、
店の入り口がよく見えた。
「んー、まぶしい」
レインはカーテンに手をかけ窓から射す日差しを
遮った後腰に下がっている2丁の銃をホルスターごとテーブルに置いた。
ホルスターから銀の杭を1本抜いて手に取り、
ベッドに腰掛けた。
銀の杭を手に握り、そのまま倒れこむように
深い眠りについた。
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