第85話
「なんだか妙な気分ね。目の前で私が殺された理由をみんなで考えるって。あなた達が来て以降、驚いてばかりよ」
話が中間に差し掛かった所で、エヴァはそう言って冒険者二人に笑った。
やはり美人だ。とはドーリーの感想。
「次にあの地下施設についてですが、何かわかりましたか?こちらも資料を漁ってみましたが見当たらなくて」
「それについては一応の資料がでてきました」
隊長が話を切り替え、新人教師がそれに答える。
「修道会はどうやら地下霊廟の建設を行っていたようです」
「地下霊廟、って言うと貴族様なんぞが庭に作るやつか?」
ドーリーのコメント。
「その類のものですね。書類上は修道会関係者が入るための墓地だったようです」
「確かに地下霊廟なら今でも国の許可はいらないから騎士団は把握してないが、あの規模で大戦後も維持してたなら確実に許可が必要なはずだ」
行政の人間としての隊長のコメント。
古いといっても流石にあの規模であれば、役所側にまったく書類が残っていない。という事はないはずだ。
「えぇっとですね、これは推測交じりなんですが、先ほど言ったようにこの修道会は清廉潔白って感じではなかったようなんですよね。なので、どうも修道会関係者向けの墓地という名目だったがそれ以外の人間や種族も受け入れたみたいなんです。お金を貰って。それで拡張もしていた、らしきことをにおわせる記述もありましたので、拡張で裏金つくりに励んでいたら広大な施設になった。という事ではないかなと」
新人教師の推測交じりのコメントにドーリーは考える。
「それにしても規模が大きすぎる。地下施設の不正な拡張工事ならいくつか取締ったことがあるがこんな規模まで拡張する事例は見たことがない。その辺を埋める書類とかありませんか」
新人教師の話に隊長が口を出す。
「えぇ、ですから推測交じりとならざる得ないんです。それにあの規模で国が把握しないってのもおかしな話ですし」
「それについては魔法でごまかしたんじゃないでしょうか。墓地には妙な魔法がかかってましたから。あのレベルの魔法が使えるなら監査の際に規模をごまかすような魔法なら簡単にできたはずです」
これはV。それに対して隊長。
「それにしてもな。区画全体まで広げる意味がわからない」
魔法か。
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