第80話

「なんですか?」

「さて?」

 

ノックの音。

ノックの音。


「扉があるが空かない。戻るのは面倒だから破るぞ」

「破れますか」


壁を乱暴にける音。

正確に言えば、壁に掛けられた宗教画の後ろから音がする。


「無理だな。あなたは壁を抜けられるってことを忘れてたよ」

「攻撃魔法でやぶってみたら?」

「こいつは攻撃魔法できないの」

「じゃぁ私たちがやります。ちょっとさがってください」

「威力を調整してくださいね」


「誰かいるのか!」

 隊長はそう声をかけたがもう反応はない。

「この壁の裏は?」

「裏なら外の廊下に出るはずですが、壁は厚いので音は聞こえないはずです」

 学園長はそう答えた。

 そして魔法の気配に気づく。

「下がって。早く。」

 壁の確認をしようとしていた隊長の手を取り、下がらせる。


 そして爆発。

 吹き飛ぶ宗教画。それに対して学園長は腰に差していた杖を抜き呪文を唱え、絵の軌道を変え床にたたきつける。

 空を飛ぶ魔法の応用。かなり高レベルの魔法を手早く行う凄腕。

 そしてその裏の壁も吹き飛ぶ。

 そこには廊下ではなく、ちょっとした穴があった。


「バカ野郎。壁を破るだけなんだから威力の加減をしろ。人が居たら死ぬぞ」

 その穴から這いつくばるようにでてきたドーリー。

「君らもう少し加減とか程度というのを知らないと人生やってけないよ」

 V

「ごめんなさい」

「大丈夫ですか」

「反省してます」

 二人の手を借りて続々と出てくる三人。

「すごいわね。あなた達、鍛えれば魔法の才能あるわよ。でも考えてみると、私が先にでてみんなをこっちに引っ張てきたらよかったわね」

 穴とは関係ない壁からひょっこりと出てくる女。


「あ、どうも。お怪我とかありませんでしたか。あ、三人、見つけましたんでお渡しします」

 出てきた所で周りからの視線に気づくV。

 なにを言えば良いのか分からなかったので、こんな反応。


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