第76話

「そこまでは有名じゃなかったわね。ただ吸血鬼退治とその修道会での訓練は有名だったしそれで帝国優遇されてるって話は聞いてたわ」

「なるほどね」

 その答えに一人ドーリーが納得。

「なんです?」

「いやさ、修道会がなんで学校と合併になるんだとさっき思ったんだが、吸血鬼退治の腕だけが売りの修道会だったならわかるなと思ってさ」


「大戦の頃に吸血鬼は人間と協定を組んで、それぞれの吸血鬼が自分が従属する国を決めるってことになっただろ」

「大戦が始まった直後とかですね。確か」

 大戦は人間世界だけではなく、怪物やモンスターたちとの関係も変えた。

「それは大戦後から今までずっと続いてる。だから悪い吸血鬼が現れた、ってなれば吸血鬼退治だが、まず吸血鬼が呼ばれる。あってるよな?」

「えぇ」

「そうなりゃ神様より吸血鬼退治で珍重されてた修道会は存在意義がない。それに聖騎士団の権力や権限も取り上げられた。そして残ったのは兵隊育成のノウハウだけだ。神も教えもぱっとしない、そういう兵隊もどきの実利的な宗教者が最後にいきつい行き着いたのがその育成ノウハウを生かす学校だったんじゃないかとふと思ってね。しかし学校だって昔からやってる所には勝てねぇし、宗教としてならもっと有り難い神様や教会もいる。そして兵隊育成なら騎士団がいる。だから規模が小さくなり、最後はお国の政策で他所に組み込まれて滅びた。どうだ?ありそうじゃないか」


 実際は当時の世情などもうすこし絡み合った複雑な事情がある。

 がその複雑な事情の一つとしてドーリーの意見は正解だし、全体を見ても「時代の流れ」というアンサーで終わらせてしまっていい話だからここでは書かない


「すごくありそうですね」

 Vはそう笑った。そして話を続ける。

「まぁそういう訳で。あなたの封印を維持する人々が居なくなった。その結果としてあなたの封印が解ける。それに前後して地上では廃墟となった修道会の施設取り壊しと同時にこの地下墓地の入り口が発見され、でこの三バカ大将が探検ごっこをしてあなたに捕まった。ってことです」

 吸血鬼の復讐物語から始まったにしては、しょうもない終わり方だ。とVは話ながら思った。

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