第65話
地下施設は意外と広かった。
「完全な調査は兵隊が居なければ無理だな」
「そうですね」
複数の廊下と小部屋に分かれる石造りの地下室。モンスターは居ない。
というより生きているものが居るのか怪しい雰囲気。
小部屋のいくつかは道が倒壊してすでに入れない。
「意外と頑丈そうだが、地下は崩れると怖い」
「一番大きな道を進みましょう。彼女達も特に用がないなら敢えて狭い道を通らないでしょう」
そう言って二人はそろりそろりとすすむ。
意外と、と先に書いたがそれは間違いで
「かなり広いな」
「学園の地下になんでこんな施設があるんでしょうか?」
この地下迷宮はかなり広かった。
一部が崩壊しているとは言え画一的なつくり。
また曲がり角にドーリーが目立つ印をつけていくので、帰り道に迷うことはないだろう。
よく見ると小部屋の一つ一つに名前がついている。
「えぇっと、マル・1・A、人の名前ですかね?」
「だとしたら相当な珍名さんだな。こっちはマル・1・Bだ。軍隊の何番隊や何とか連隊みたいな、何か管理するための番号じゃないか」
「確かにそれっぽいですね。騎士団の施設なんでしょうか?」
「学校の地下に何を作るんだよ」
騎士団所有の秘密施設、というのは実際ないわけではないらしいし、地下の秘密施設というのもあるらしい。
あるらしいというのは二人が具体的な場所や存在を知ってるような施設は「秘密」とは言えないからだ。
しかし学校が集まってる界隈の地下にそんな物作っても意味はないし、すぐに秘密ではなくなる。
「一つ開けてみるか」
そう言ってドーリーは部屋の一つの扉を開けてみる。
中には金目のものは何もなかった。
あったのは棺だけ。
「こりゃ墓か?」
「地下墓地ってやつですね」
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