第62話
「今日は大会じゃないのか?」
大会当日はまる一日学校を休む、という事を前聞いた。
「もう終わりましたよ!先輩は許婚の方とデートだって事で先に帰ってきました!!」
「あぁ貴族の御曹司だっけ?青春だね。大会の成果はどうだった?」
「なんと!男女総合で先輩は優勝しました!!私は女性部門2位です!!二人とも入賞ですよ!」
参加者全員でタイムを争い上位三名が表彰されるのが男女総合、そして男性、女性に分かれて上位5名が表彰される。
普通はそんなことはやらないが、今回は初回という事で広い参加者に賞を与えて今後の参加者を募るのが目的。
この成果なら驚いてくれるだろう、と思って自慢気に話す後輩だが、二人の考えは別の所にあるのであまり驚かない。
さすがの後輩もそれに気づく。
「なにかあったんですか?」
「まぁ何かだよ。新聞部の三バカ大将が行方不明でその調査への協力を依頼されたんだ。だから褒めるのはまた今度という事にしておいてくれ」
「行方不明!大変ですね!それでみんなは、教室に待機ですか」
「多分そうだろうね。君は、まぁ職員室で先生に成果を報告して指示を仰げばいいんじゃないかな」
Vはそんな指示をだしたが、ついでにという事で
「そうだ。君、この学園のどこかに地下施設ってあるかい?」
と聞いた。
「地下施設ですか?どんな?というかなんでですか!」
Vは今までの話を要約して伝える。
後輩は少し考え
「うーん、私も全部知っているわけじゃありませんけど、一応あります。ただダンジョンっていうほどの物じゃありませんよ。その、授業で使う道具とか、なんか昔の物を入れておくような場所です。年末に教師と生徒で大掃除とかするような場所です」
「言えば倉庫だね」
「そうです、倉庫とか物置とか、正式な名前はなんかあったはずですけどわすれちゃいました。先生も物置って言いますしね」
そして後輩はもっと考える。
「うーん、その、うん、新聞に「地下のダンジョン」って書いて、それを読んでる私が信じちゃう、そんな感じの場所ってことですよね。それって。そんなのはあまり思いつかないんです。学校は結構広いですけど、特別変わった施設があるわけじゃないですから」
「確かにそうか」
後輩の意外な指摘にドーリーとVも賛同する。
「確かにあの新聞の主な読者はここの生徒ですから、生徒が出入りするような場所をダンジョン呼ばわりはしませんよね。誰も信じない。だから、どっか、立ち入り禁止されてたり生徒が滅多に立ち入らない場所って考えるのが筋でしょうか。どっか知らない?」
そしてまた考えて
「あぁ、そういうのなら一つありますけど、うーん、どうかなぁ」
と言った。
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