第60話


「お疲れ様です」

 寮の管理人は仕事に戻り残りの三人は学校へ。そこで前受付をしていた新人に声をかけられた。

「教頭先生が正式に騎士団に通報しましたので、捜査は騎士団が協力してくれるそうです。なんでもよその学校に侵入があったとからしくて、それも兼ねてるとか。ですから教師陣はこの界隈を中心に捜索と、あと生徒たちへの指示ということになりました。ですからまず一旦職員室の方で指示を仰ぐようにと」

「わかりました」

 司書はそう返答。

「俺らはまぁ学内を探してみるよ」

「そうします」

 そう言って冒険者二人はまた分かれる。


「探す、と言ってもどうすべきかだよな」

 生徒がいない廊下の一角でドーリーはそうつぶやいた。

 午後の授業も終わりの時間帯なので、いつもなら生徒や教師たちがあふれはじめる。だが生徒たちは教室で待機。

 あの三バカでもまる一日、家にも学校にも寮にもいないと大事。なので他の生徒に公表した上で情報を集めると同時に注意喚起と集団での帰宅という計画で、それに関わる細かな指示や注意事項の伝達などを現在職員室でやっている最中。


「大規模で効率的にやるわけじゃないから、どこに行くか予想することになりますけど」

Vの意見。


 騎士団やここの教師のように組織的に動くのであれば、極端な話ローラー作戦で全部を探すということもできる。だが冒険者組は人がいないのでそういう訳にはいかない。なので居そうな場所を探す、ということにになる。

「どこに居るのか、ですよね」


「順番にいこう。目立つ制服を着てた。学校用の荷物を持っていた。長く考えれば週末から今日までそこにいることになる」

 ドーリーは今までわかったことを3つ上げた

「あの制服は目立つ。この界隈でもな。学内なら比較的目立たない」

「学校用の荷物を持っていた。部屋に帰っていない。ってことから見ても学内か近くでしょうね。荷物を持っていた、ってことは授業終わりに部屋に戻らないで済む場所、つまりやっぱり近くだ」

「じゃぁどこだ?連れ去りなら3日もあればどっか遠くに連れてかれるか、死体となってどぶ川の底かだが、まぁあまり想像はしたくないな。騎士団や検問がある首都じゃ連れ去りは難しいし」

「そういう感じじゃないんですよね。女学生とは言え攻撃魔法を使う魔法使いを三人連れ去るってのは結構な大事ですよ。あの三人はどう考えても抵抗せず連れてかれるタイプではありませんし」


そういうタイプなら話しかけたVに攻撃魔法を、などと考えない。


「じゃぁ迷子、家出。家出ならもっと用意してるし、あったときにはそんな感じはしなかった。迷子。迷子が近いかな」

「どっかの田舎なら僕も賛同しますけど、この学校界隈で迷子ですか?人もたくさんいる。誰か見つけるでしょう」

「どっか妙なところに入り込んだんじゃないか?そう、例えば地下下水道とか」

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