第56話

「こういうのって法に従って騎士団が捜査すべきじゃありませんか。学生とはいえ一応当人の情報とかあるわけですし」

 寮の管理人の比較的若い女性はまずそう言った。

 道中、学園長の指示でついてきた学園図書館の司書(正確に言えば教師ではないが、学園長の命令には逆らえない立場)曰く、彼女は騎士団員の未亡人だとか。なのでこの若さで寮の管理人という職についている。

「ここは学校の所有物だから学校の許可さえあれば当人の許可はいらないんですよ」

 それに対してVはそう答えた。冒険者として知っておくといい知識の一つだ。

 逆に言えばこういう知識が役に立つのが冒険者だということも言える。

「そうなんですか。まぁ学園でも抜き打ちチェックとかしますから、その延長ってことになるのかな」

 鍵の束をもって冒険者二人の前を進む。


 三人の部屋は意外と、こういっては何だが、片付いていた。

 二人は相部屋。もう一人は個室。

「学年が上がって学校での成績がいいと個室に行けるんです。まぁ相部屋の広さが気に入って友達と卒業まで相部屋で住む人いますが」

「単純に成績が悪いから相部屋のままって子も多いです。この二人は成績は良い方ですけどね」

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