第51話

週末


ドーリーは認定試験を受けた。

受ける予定はなかったが、席が空いているからどうだと講師から話が回ってきたためだ。

人付き合いの良さはこういう所でも利点がある。


Vは特に予定はなかった。

金もないし、いつも週末が休みという商売でもない。

あと友達もそこまで多くない。

なので家で寝ていた。


週の始まり


「なにかいい仕事ありませんか?」

「一人だとあんまりないですね。最近は組合の方もパーティーを優遇する方針を取ってるみたいですよ。Vさんも一人でフラフラせず見つけたらどうですか?」

「そうですか。僕もみつけるかな。どうも」

 Vは昼前に組合の受付嬢とそんな会話をする。

 すでに顔なじみだ。パーティーを組んで長期の仕事、という事をあまりやらないので組合によく顔を出すし、その手の日雇いや臨時働きの中では珍しい「礼儀正しい若者」なので受付嬢の中でも比較的好印象。

「よう」

 そこで偶然ドーリーとであう。


「試験に受かったんですか」

 大した仕事もない、週明けて初日は基本そういうもので週明け初日に窓口に仕事を出すので二日目、三日目に多くの仕事はあつまる、という事でまた談話室で二人で雑談という事になる。

「あぁ、学園長先生のアドバイスに従ったら一発だ」

「おめでとうございます。と言っても、基礎、基本ですからね」

 攻撃に関する魔法が使えないVですら攻撃魔法の基礎は取れる、そんなレベル。

「それもそうだが、目に見える成果はうれしいものだよ。やっぱりね」

「そうでしょうね、僕もそうでした。ですから、やはり、おめでとうございます」

「ありがとう」


 そこから何かすごい話をした、というわけではない。

 いや、内容としてはわりと具体的で

「最近はパーティー優遇の方向性らしいですよ。一人身はつらいらしくて」

「でもまともなパーティーの募集なんてほとんどないよなぁ。臨時パーティーとかで数打って常設メンバーを探すか、常設メンバーの欠員募集を根気強く探す以外に方法はないかね」

「あぁ、仲介人、みたいな人はいますよ」

「あれって大仕事の時に臨時メンバーを集める仕事じゃないか」

「いや、常設パーティーについても仲介、というかいい人を探してくれるんです。ヘッドハンティングですね。まぁ依頼しても受けても金がかかるし、いい加減な仲介人だと金だけもって逃げたりするんですけど」

「どこでもそういう連中はいるもんだな」

とかいう話だが、その話の結果何か生まれたとかいう事ではないという意味でだ。


「お二人さん」

 そんな話から仕事の話、Vは荷物の送達の仕事でも受けるつもりだ、ドーリーはモンスターの雑魚狩りの依頼があるからそれを受けようかな、という話をしていた所で受付嬢が駆け込んできた。

「なにか?」

「学園の方からの方から使いが着ましたよ。あなた方を呼んでるそうですが、何かやらかしましたか?」

「特に何かをやった覚えはないな」

「まぁ報酬の方でちょっとした問題はありましたけど、それも話はついているし」

 二人の率直な感想。

 多少騒ぎは起こしたが。特に大問題にはなってないはずだ。

「とにかく急いで来てほしい。とのことです。今から向かってください。上には私の方から伝えておきますから」

「了解」

「わかりました」

 そう言って二人は立ち上がる。

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