第44話
「何時なら現金で支払えますか?」
「来週の頭ですね。休日が挟まるでしょう。なので時間がかかってしまって。申し訳ございません」
Vの疑問に対して教頭は答える。そしてVの提案。
「普通の取引ならこんなこと言わないんですが、学校ならまぁ役所みたいな物ですから来週の頭に消えてるなんてことはないでしょうし、こちらも特別急いではいません。ですから教頭か学園長先生にでも支払いが遅くなっている旨の証書か何かを一筆したためて貰って、来週の頭現金で支払ってもらうという形でどうでしょうか?」
冒険者二人が支払日の妥協をするから一筆書け。という落としどころ。
「ではそういった形でお願いできますか?申し訳ございません」
一応でも権力者である教頭がこれを承諾。
「もう一つ生徒に対する弓の指導なのですが」
そう言って教頭は金額を提示する。3日分。正直安い。
そもそもドーリーともしっかり契約を練ってない。
一応教頭のうろ覚えの記憶では
「組合から派遣された冒険者に対して支払っう契約外の労働が発生したため支払う追加報酬」
とかなんとかいう感じで会計上は通してあるが、それも明確に定まっている感じではない。
が
「じゃぁそれで。一応組合の方に話を通してもらえる?」
「もう通してありますので。正式な書類がこちらになります」
教頭に渡された書類を流し読みして、ドーリーは最後の一枚にサイン。
この報酬についてはドーリーの全取り。
Vは隣から眺めてちゃちゃを入れて生徒から不味い、オリジナルな味の菓子を貰っただけなので金を貰うつもりはない。
むしろ三バカ相手に騒ぎを起こした側だ。
ドーリーにしても似たようなもので、正直そこまでちゃんとした指導をした覚えもないし、知り合いなら「まぁ今度飯でも奢れよ」位の請求をする程度の話しかしてない。
なので二人とも安かろうが文句を言うつもりはない。
「こっちの報酬についてもまとめて渡してくれないか。二度手間だ」
「わかりました。御足労おかけしますが」
「そこまで畏まらなくても、いや、やっぱり少し受け取りに来るのを遅くしていいかな。あの二人に競技会の結果を聞きたいから」
競技会は来週の頭に行われる。支払日をちょっと遅らせて貰えれば「報酬を受け取るついでに結果を聞きに来る」という予定としてはぴったりと合う。
「あ、それは僕も気になります。用もないのに来るのはどうかと思いますし、遅くていいですか?」
「そこまで気にかけてもらわなくても」
「いや、俺が気になるんだ。今日含めて3日だけとは言っても、顔合わせて先生言われながら、いろいろ教えるとね」
「生徒を気にする先生の気分ですか」
ドーリーの言葉にVはそう言い、教頭はそんな二人の要望を微笑みながら快諾した。
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