第39話
「〰〰〰」
「〰〰〰」
三人のうち二人が何かよくわからない呪文、Vの知識ではショックで相手を怯ませる攻撃魔法、を唱える。
どの程度のショックかは調整できる。授業で居眠りする生徒に対して教師が使いびっくりさせることから、オークを一撃で追い払え人間に使うと危険なレベルまで。
さすがに学生三人がそこまですごい威力は出さないだろう、と思うが対抗するしかない。
そう言ったわけで、Vはかなり短い呪文を唱えた。
真ん中の生徒の杖を中心に閃光といやな金切り音が響く。
この魔法はVのオリジナル。
と言っても基本は回復魔法で使われる
「治療時に明かりを確保するために物を光らせる魔法」
と学校や軍隊で使われる
「声の音量を大きくする」
魔法を改良して組み合わせた物。
先の依頼の経験から強烈な光は目くらましになると考えた彼が、光と音を同時に発生させるように組み合わせて作った魔法だ
大きな光を長時間光らせるのは魔力が必要、という事で魔力消費を抑えるために瞬間な閃光にすること、音を一から発生させると呪文が長くなるので音については自分の声を嫌な音になるように変換しているなど工夫がある。
が理論がメンドクサイし攻撃魔法ならもっと簡単で高い効果を見込める物があるので、攻撃魔法を使えない彼以外は使う必要性があまりない。
「〰」
「あぁ」
「気持ちわるぃ」
閃光が過ぎた後に残ったのはそこに膝まづく三人の女学生。
不意打ちなら効果は絶大。すでに戦意喪失。
「改良の余地ありだなぁ」
光は何とかなったが音については対策が不十分だったVは耳を抑えながらそんなことをつぶやいた。
遠くから教師が二人ほど走ってくるのが見える。あと騒ぎを聞きつけたドーリーも。
Vはこの一件について
「怒られるかなぁ」
と思っていたが、学校からそう言ったお叱りはなかった。
むしろ怒られたのは女学生三人組。
「君達ね。来客者に対して杖を振りかざしてなおかつ魔法までやろうだなんてそんなこと許されるわけないだろ」
「お前ら反省してるのか。学校の外でそんなことやったら殺されても文句を言えないぞ」
殺されても文句が言えないはさすがに言い過ぎだが、 他人に攻撃魔法をかけられそうになったので反撃したというのは正当防衛が成立する一つのパターン。
こういった説教に対して3人は
「申し訳ございませんでした」
とただ平謝りするばかり。
「お前、どうするんだ?」
その光景を見ながらドーリーはVに聞いた。
「いや別に問題にする気はないんで。驚かせたこちらも悪いので。そんな大事にしていただかなければ。はい。ごめんなさい」
確かにこんなことになるとは思っていなかったが、用もなく喋りかけてきっかけを作ったのはVだ。
なのでそこら辺突かれるという面倒くさい事になる。主に組合関係とか。
そこらへん考えてできるだけ大事にはしていただきたくないかなあ、という雰囲気を匂わせつつ、なんとなくVも平謝り。
大事にしてほしくないというのは学校からの処分を受けたくない3人も同じ。
そういったわけで数の理論によってまあこの件はそこまで大事にはならなかった。
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