第20話
「そりゃ無理だよ」
「人の話聞いてた?すぐに否定しすぎ」
「そんなこと言っても矢は基本前に飛ぶか上に飛ぶもんだ」
食堂についたVと学園長が見たのは、えらく盛り上がっているドーリーとこの学校の生徒だった。
ドーリーと一人は食べ終え、あとの一人も食べながら参戦している。
「でも私は見たんです。壁を過ぎたあたりで、こう、キュって感じで方向転換して的を射貫くのを子供の頃に」
「そりゃ多分エルフの話だろ?」
「そうです。父の友人の召使だったエルフの戦士が教えてくれたんです。私たちはあのショットをマスターしてどうしても今度の大会に勝ちたいんです」
「隠してるんじゃないんですか?」
「あなた達、お客様相手に随分と白熱しているわね」
「学園長先生」
「おはようございます!」
学園長に声をかけられた二人は議論をやめ立ち上がり大声で挨拶。
「静かにしなさい。彼があなたのパーティーの方かしら」
「はい。今回手伝ってくれるドーリーです。あ、こちらこの学校の学園長先生で、先ほど廊下で会いました」
「これはどうも、冒険者のドーリーです。登録ジョブは剣士ですが弓の方が得意です。短い期間ですがよろしくお願いします。チケットの方はさっそく使わせてもらいましたよ」
ドーリーも立ち上がり握手と共に挨拶。マナーというものはあまり詳しくない男だが、ないなりに嫌われない立ち回りというのを知ってる。
だから自分の年の半分以下の女学生たちと盛り上がれるのだ。普通のおっさんはこうはいかない。
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