夫婦喧嘩
今朝、妻と喧嘩した。私は恐る恐る帰宅した。
妻はもう寝ているかもしれない。夕飯は自分で用意しなくてはならないかもしれない。最悪の場合、実家に帰ってしまっているかもしれない。そうなると義父がうるさく口を出してきてやっかいなことになる。
いろいろと考えていたが、意外にも妻は普段通りに出迎えてくれた。夕飯も用意してあった。
「今朝は、その、なんだ、まあ、悪かったな」
「別にいいわよ、もう」
もごもごと謝ると妻は機嫌良さそうに笑った。今朝の様子ではしばらくは口をきいてくれないのではないかと思っていたが、どうしたのだろう。食卓に座り、何かあったのか、と聞く。
「何もないわ、もう」
「もう?」
茶碗を受け取り、並んだおかずを見て、ふと思った。帰宅してから母に会っていない。声も聞いていない。
「母さんは?」
「さあ?」
妻は笑って首をかしげる。
「このサラダにかかってるドレッシングは?」
私は赤いサラダを指差す。
「あなたはきっと大好きだと思うわ」
妻はいっそう笑顔になってそう言った。
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