※13話までの再読レビューです。
戦争後、大都会・メトロポリスを中心に復興を遂げてきた世界。その世界に生きる人々を、時に人情的に、時にコミカルに描いています。
驚くべきは緻密な世界設定です。
一人勝ちした大都市・シティー、迎春祭が行われる準区の中心・錨星街、自然豊かな田園都市街区、暴風雨の吹き荒れる風境区など、様々な街や地方が出てきます。
その定められた環境の中で人々がいかに生きるか、その人々の営みも、本作の魅力だと思います。
また、都市部では近未来的なアイテムが、辺境地ではレトロなアイテムが、人々の生活に根付いています。
未来と過去が融合し、時の流れの寂しさや美しさを感じられる、読み応えのある短編集です。
どこまでも読み手の想像力を広げてくれるメトロポリスの世界、心ゆくまでご堪能いただけることと思います。