漫才『どどいつ』アッチ・コッチ

 

アッチ「どうも、アッチでーす」


コッチ「どうも、コッチでーす」


2人「2人合わせてアッチ・コッチでーす」


アッチ「早速やけど、読書とかしてる?」


コッチ「そう言えば、最近してへんな」


アッチ「秋の夜長に読書は最適やで」


コッチ「最近、本、買ってへん」


アッチ「本やのうても読書はできるで」


コッチ「本やなくても?」


アッチ「ああ。スマホや」


コッチ「あ、確かに」


アッチ「俺はもっぱら、スマホで読書や。ファンになってる作家さんもいてる」


コッチ「へえ」


アッチ「作家の一人に、都々逸どどいつを書いてる人がいてな」


コッチ「どどいつ? どこのど、どいつ?」


アッチ「ダジャレはええねん。都々逸とは、7・7・7・5の音数律に従う、口語による定型詩や」


コッチ「ようわからん」


アッチ「川柳を少し長めにした詩の韻文形式や」


コッチ「まだ、ようわからんな」


アッチ「いま説明するから、よう聞いときや」


コッチ「頼むわ」


アッチ「一番のお気に入りが、これや。【つまらぬ妻も 居ぬよりましと おっとりしてる 夫say 】」


コッチ「いまいちわからん」


アッチ「“つまらぬ妻”は、つまらぬのつまとワイフの妻を掛けとるんや」


コッチ「ほう」


アッチ「“いぬよりまし”は、居る居ないの居ぬとドッグの犬を掛けとるんや」


コッチ「あ、確かに」


アッチ「“おっとり”のおっとは、ハズバンドの夫と掛けとるんや」


コッチ「なるほど」


アッチ「“夫say ”は、オットセイと掛けとるんや」


コッチ「なるほど、動物がらみやな」


アッチ「そう言うことや。わかりやすい文章にすると、〈つまらない妻でも居ないよりましと、おっとりしている夫が言う〉。この散文を韻文形式にしてるわけや」


コッチ「確かに、おもろいな」


アッチ「そやろ? お前も1つ作ってみ」


コッチ「そんなもん、突然言われても無理やわ」


アッチ「そんな難しく考えんと、普段思ってることを7・7・7・5で言えばええんや」


コッチ「普段思ってること?」


アッチ「そや。8パーなんか10パーなんか違いがわからん消費税の話でもええし、オファーが少ない仕事の愚痴でもええねん」


コッチ「うむ……」


アッチ「なんでもええねん。口から出任せで言ってみ」


コッチ「ほな、いくで。旅の話や」


アッチ「待ってました!」


コッチ「足寄あしょろの店で」


アッチ「北海道の足寄やな?」


コッチ「とってもモテた」


アッチ「それほどモテへん」


コッチ「ジョッキにカップ」


アッチ「ジョッキにカップ?」


コッチ「あいかっぷ」


アッチ「あいかっぷって、なんやねん」


コッチ「足寄にあった駅や」


アッチ「もういっぺん、最初から言ってみ」


コッチ「いくで。【足寄の店で とってもモテた ジョッキにカップ 愛冠あいかっぷ】や」


アッチ「なるほど。とってもモテたをジョッキとカップの取っ手も持てたと掛けたわけや?」


コッチ「そや」


アッチ「そして、足寄の旅に掛けて、かっぷの付く、愛冠にしたわけや?」


コッチ「そうや」


アッチ「なかなかうまいやんけ。あいかっぷは、Iカップのバストかと思たわ」


コッチ「H(エッチ)を超える人は、そうざらにはおらんやろ」


アッチ「ここにおるがな。I(私)カップ」


コッチ「ほんまや。エッチ超えてるわ」


アッチ「もう、ええわ」

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