〈アウトサイダー〉
賊の砦ではゾンビ罠を発動させたクマが大声で笑う。
身動きが取れない助さん格さんに迫る無数のゾンビ!
――ヂヂヂ
大きな鉛の塊から出た導火線に火をつけタイミングを計りゾンビに投げつける杏音の姿!
ドーン! と大きな爆発音が辺りに響き渡り一瞬にしてゾンビの群れは四方八方に飛び散った! そして関所内に火の手が上がる!
冷や汗をかき、慌てふためくクマの足元に炎で燃える顔だけのゾンビが足を噛む!
「んばああああん!」
クマは赤目で絶叫し、みるみるとゾンビ化すると次々と周りの子分共を噛んでいった!
クマと数人の賊ゾンビはトウイチ達を襲おうともせずに関所を出て行った。
「待つっス!」 体に巻きついた鎖を外した助さん格さんはクマゾンビの方へと走る!
――ザっ!
高い関所の門の屋根で様子をうかがっていたネズミと数人が助さん格さんの前にたちはだかった!
「貴様! 忍でござるな?」 格さんが言うとネズミは笑って答えた。
「いかにも。あっしらは想肉などと言う人肉などに興味はないざんす。己の利益の為だけに動くざんす!」 ネズミはそう言い手を振りかざすと数人が瞬く間に助さん格さんに飛び掛って行った!
トウイチと杏音も関所の門までやって来た。
「おい小娘! 【
「江戸に着いてから使用するはずの、とっておきでしたけどね」
「江戸…… ハハハ。これは愉快ざんす! わざわざ地獄に行くざんすか」
――ザザザ!
不意にトウイチがネズミに斬り込んだ!
――キンっ!
「盲目の浪人…… まったく面白い奴らざんす」 ネズミは瞬時に二本の小刀で強烈な仕込刀を受け流す。トウイチは次から次へと豪速に斬り込んで行く!
その常人離れした二人の凄まじい一戦に圧倒され立ちすくむ杏音。
ネズミの子分数人と助さん格さんも激しい攻防を繰り返していた。
「手強い忍どもでござるな…… クマなど比較にならんほどやり辛いでござる!」
「へっ! どんな状況だってやってやるっス!」
関所は古びた木材やらゾンビの死体やらで火の勢いが徐々に増してきていた。クマゾンビ達の姿はもう見えなくなっていた。
「ハハハ。奴らは山村へと向かっているようざんす!」
「けっ! お前らに足止めを喰らうわけにはいかねえんだよ。そろそろ終いだ!」
トウイチはそう言いい瞬時に一歩下がると仕込刀を片手で目の位置に水平に持ち片足を前に出し背中を伸ばした。
同時にステップを踏み仕込刀を真っ直ぐに素早く連続で突く! 突く! 突く!
「ムムっ!」 ネズミは防ぎきれずに片方の小刀を落とした!
とっさにトウイチは仕込刀を両手で持ち上段からネズミに斬り込む!
――ズバンっ!
「やったでござるか!?」 格さんは攻防の最中、トウイチの方を向いた。
「ちっ!」 トウイチが舌打ちをすると目の前には真っ二つに割れた丸太が転がっていた。
「出た! 忍術っス!」 助さんはこんな時でも楽観的だ。
高い関所の門の屋根でネズミの声が聞こえた。
「浪人! 貴様…… まあ……良いざんす! 野郎ども! 引くざんすよ!」
ネズミが言うと子分の忍達は一斉に素早く門の屋根まで移動した。
――「
――「熱っ!」 顔に飛んできた火の粉を払う助さん。
関所は凄まじい勢いで火の海と化していた!
「村に戻りましょう!」
「ご隠居! 今行くでござる!」
「キツネの野郎っス!」
四人は山村へと急ぐ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます