その4
____________________________________
「んっ....」
目を覚ますとそこは薄暗いコンクリの壁で囲まれた部屋だった。
腕と足を椅子に縛りつけられ口にはガムテープで身動きも取れず、声も出せない。
「微人くん。君は知りすぎてしまった。」
知らない男の声がした。ただ、全く状況がつかめずそれ以上分からないしなんだかぼーっとして夢でも見てるみたいだ。
「私は大崎虎太郎。人体についての研究なんかをしている。」
大崎...そういやあきら先輩も大崎って苗字だったな。
「私の過去の研究について少し話をしよう。そうすれば君がここにいる理由がわかる。ある時人間の染色体の研究をしている時に、性別を決める染色体を思春期の間だけなら書き換えることが出来るという結果を得ること後出来た。しかし、理論だけで確実性もなく動物実験では成功したが、人間で本当に性転換できるのか、怪しかった。そして、自分の息子を実験体にしたのだ。実はその子、戸籍がなく、事実上存在しない子だったのだ。そして、彼のことを知る人も僕と妻と、もう1人友達がいただけで、都合が良かった。そして実験は成功し、過去を隠し、戸籍もつくった」
聞いているだけで胸くそ悪い話だ。
でも、俺がここにいる理由とどう繋がるというのだ。
「そして私の息子。いや、娘の名前は大崎あきらだ。」
ああ、あきら先輩と関わったからか。
でもそれだけでこんな仕打ちに会うのは少し理不尽じゃないか。
彼女にも友達はいるだろうし。
「そして、性転換する前の名は大崎あき。そう、君に数学を教えていたあの子だ。そして、あきらは君に正体を明かそうとした。」
あきら先輩が口を滑らせたせいでこうなったのか。あきくんに会えたのは良かったけど、この感じじゃ二度と彼女には会わせてくれないだろうな。
「そしてこの研究は国家機密になっている。実の所、あの場で君を処分すべきだったが、場所が場所だったのでな。」
は、、、?処分?処分って?は?
退学処分とか、そういう事だよな?
「ただこのまま殺してしまうのも、もったいない。なので実験体となってもらおう。実は最近人間の記憶に関する研究をしててな、記憶を全て消すとどうなるか、実験したかったんだ。大丈夫。国よりも大きな組織から国にも君の親にも話をつけてくれるから。ただ最終的には死ぬことになるけど許して欲しい。」
いやだ!死にたくない!嫌だ!
「ぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!ゔぃゃゃゔぁ!」
「ガムテープ越しじゃ何言っているのか分からないな、微人くん。」
ガチッガチャガチャガチャガゴン!
「セッティングも終わったしそれじゃ、始めるね?」
「ゔぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ウィーーーーーーーーーーーーーーーン ピカッ!
「ぅぁ、あ、、、、、_________________________________________________________________________________________________________________________________________________________
「さよなら、微人くん。」
物研のあきら先輩 まるろー @marlot
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます