013 『涼ヶ峰親子のピクニック②』
僕もそれを追い、少し距離を取った位置でラケットを構えた。
「行きますよー」
「いつでもどうぞっ」
どうして僕は菘のお母さんとバドミントンをしているんだという疑問を胸に––––シャトルをトスして、打つ。
シャトルは少し伸びてしまったが、
打ちやすい位置だったので、僕も難なくシャトルを返し、
意外にも
その後も、僕達はシャトルを落とすことなくラリーを続けた。
少し運動をしただけなのに、暑さのせいかすごい汗をかいてしまった。
「少し、休憩にしましょうかっ」
「そうですね、もう汗だくですよ……」
「いっぱい動きましたもんね〜」
と、
これが人とサキュバスのポテンシャルの違いなのか、それとも
「
「湊くんもお上手ですよっ」
「まあ、運動は苦手ではないので……」
「小さな頃から、運動得意でしたものね〜。運動会なんか、いつも一番でっ」
なんか、変なこそばゆさを僕は覚えた。昔の話をされるのはちょっと恥ずかしい。
「いや、小学生の時の話ですから……」
「でも湊くんみたいな運動が出来る人、私カッコいいと思うなぁ〜」
「あ、いや……ありがとうございます」
僕は何故か自分の顔が熱くなるのを感じた。きっと、暑さのせいだ。
「おかえりなさい……湊さん、すごい汗ですね」
菘は戻って来た僕を見るなりそう言い、ハンカチを差し出してきた(黒いレースのハンカチだ)。
僕はハンカチを受け取ってから汗を拭き、菘の隣に腰掛ける。
「冷たいお茶です、どうぞっ」
「あ、どうも」
「それと、そろそろお昼時ですので––––」
「食べますか?」
「いただきます」
運動をした後だからだろうか、お腹は結構減っていたので二つ返事で答えた。
カラフルなサンドイッチで、見栄えがとてもいい。アメリカの朝食って感じだ。
僕はサンドイッチを一つ取り、頬張る。
味の感想? なんかもう、
「どうですかっ?」
「美味しいです」
「ふふっ、まだまだありますので沢山食べてくださいねっ」
「あ……母様っ、私も食べますよっ」
菘もサンドイッチを一つ取り頬張る。なんか、リスみたいな食べ方だ。
僕ももう一つ貰い、パクっといく。うん、
「湊くんは相変わらずいい食べっぷりですねっ、こうやって沢山食べてくれる子が家にもいれば良かったんですけどね〜」
と言って、
「私の主食は血液です」
「すずちゃん、こういう時だけ吸血鬼にならないのっ」
「今朝も湊さんの血液をガブりといただきました」
「あら、それはそれは……湊くん、本当にいつもごめんね〜」
「もう慣れました」
実際、今日血を与えたおかげでドロドロ血液になっているのが判明したのだから、悪いことばかりでもない––––と思いたい。
「でも、嫌になったらちゃんと言わないとダメだよ〜? この子も、せっちゃんも遠慮が無いから」
「……まあ、大丈夫です」
本当は少しは遠慮して欲しいと思ってはいるが––––人のいい
とまあ、そんな感じで昼食を終え––––
「
「ううん、遠慮しなくていいんだよっ、湊くんはうちの子みたいなものなんだからっ」
「は、はあ……」
こういうことを面と向かって言われると、反応に困るものである。嬉しいは嬉しいのだが、どこか気恥ずかしさもある。
「もしも湊さんがうちの子になったとしたら––––私がお姉ちゃんですね」
「それはない」
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