滅殺菌石鹸

「さぁさぁ皆さまいかがお過ごしでしょうか、異世界テレパシーショッピングのお時間です。ご案内するのは私、ナナ=ビンテージと」


「ちょっとまって、もうすぐデイリーミッション終わるから」


「はいおなじみマイペースなクーヘン君です」


「は! ふっざけんなよこれ返せるわけないだろ! チートだチート! クソゲーが、切断したろ」


「えーー、クーヘン君、だいぶゲームに熱中してて手とか油でべっとりじゃないかな?」


「待って、デイリーボーナスもらってなかった」


「早く終わらせて、もう本番だから」


「………………ハイ終わり。でなん、社長どうしたのその格好、爆弾処理でもするの?」


「まぁイメチェンだよ。さて、みなさんも異世界での生活で衛生面でお困りになった経験、おありじゃないでしょうか?」


「そうだね。洗った方が汚くなりそうだし。石鹸もねぇ。作っても白くならないんだよねぇ」


「そうなんです。ただでさえ上下水道が乏しい異世界に真っ当な石鹸あるわけない。ないなら自分で、知識チートで作ってみたけど、これはこれで殺菌作用とかイマイチ信用できない。そこで今回コーポレーションは特別な石鹸をご用意しました」


「わぁ何これ!」


「ご紹介しましょう。こちらが滅殺菌石鹸です!」


「凄い、緑色に光ってるよ!」


「そうなんです。この発光、ゆすぎ忘れ防止のための処理なのですが、そんなことよりもクーヘン君、私が声を大にしてお伝えしたいのは、この石鹸で手を洗えば、いいですか? 誇張ではないですよ? 100パーセントです。100パーセント、完全に、手のひらから一切の雑菌、細菌を消し去ることができるのです!」


「ひゃくぱー? ほんとー?」


「これが本当なのです。他社商品ではどんなに頑張っても1パーセント弱、洗っても落ちない菌が残ってしまいます。それに時間が経てばまた増えてしまう。中には石鹸カスを栄養に増えるカビも存在します。しかしこの石鹸ならば一年、一年の間絶対に菌は発生しません!」


「それって凄くない?」


「すんごいです。しかもこの一年というのは、実を言いますと、一年前から現在に続く実験の、今現在なのです。なのでこうしている間も! その記録が延長され続けているのです!」


「わーどこまで続くんだろー」


「この秘密はミネラルにあります。こちらの写真をご覧ください。綺麗な海ですね。この海の海水から丁寧に丁寧に少しずつ少しずつ集めた天然素材のプルトニウムを贅沢に配合しているのです!」


「あー、あー?」


「こちらの石鹸を一つ? 二つ? いいえここはドーンと五つ、セットでお届け」


「あの、社長、これ、髪、抜けちゃった」


「え、えっと、ごめんなさい。こちらの商品は殺菌専用でして、育毛の効果はございません。その点、お伝えしておきます」


「じゃなくて、これ、僕、ひば」「さーーー! みなさん、ジャンジャン注文してください!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る