マヨネーズ壺

「こんにちは。みなさま異世界での生活、如何お過ごしでしょうか? ナナ・ビンテージです」


「アシスタントのヤスダです」


「さて始まりました第二回、本格的に商品のご紹介となりますのが、みなさんは異世界に来て食事でお困りになった経験はありませんか? 毎日毎日同じような食材、料理法も焼いただけ、塩味があればご馳走、そんな酷い食事にさよならしましょう。そのための商品がこちら、ドーーン!」


「マヨネーズ壺です」


「はい。ご覧の通り普通の壺です。こうやって、片手で持てるぐらいの大きさ、重さで、中には、こう、見えますかね」


「社長指が、隠れて見えないです」


「あぁ、ありがとう。こちら、内側に魔法品が描かれております。察しのことと思いますが、こちら、魔法の力で動くアーティファクトなっております。これで何ができるのか、こちらをご覧ください」


「んぎーーー! んぐーーー! いんぎーーー!」


「はいゴブリンです。逆さに吊るして三日三晩、元気ですねー。この下にこちらの壺をセットして、それではアシスタント君、お願いします」


「はいはいやっとかよ。頸動脈でいいんだよな?」


 ザク。


 ブシャー!


「んぎいいいいいいいいいいいいいい!」


「さぁここからです! ご覧ください。壺の中に集められた搾りたての血液! それをこうして混ぜていくとミルミルうちに赤から白へ!」


「わぁこれって」


「そうマヨネーズです! こちらの壺はなんと! 生き血を注ぐだけで誰でも簡単に新鮮でおいっしいマヨネーズがすぐに作れるのです!」


「なお、商品にゴブリンは付属してません。言っとかないと」


「えー、それでは一口、んーーチープな味。転生前では当たり前だったこの味も異世界では滅多に味わえません。ですがこの壺さえあればいつでも新鮮、おいっしいマヨネーズがたべられるんですねぇ」


「ただ一点、注意が、こちらの壺は生け贄の血の魔力で動いてます。なので輸血や死体の血液ではうまくできません」


「そこは、あれです。テレビ買ってコンセント刺さないと、と同じようなものなのでご容赦を。その上でさらにこの壺の機能をお見せするためにもう一つ、ドーーン!」


「あぁはいはい」


「んーーー! んーーー! んーーー! んーーー!」


「はーいこちら、逆さ吊りな上、年増なスキンヘッドだからわかりにくいですが、こちら、戦乙女なんです」


「頑張って生け捕りにしました」


「はいこちらもまた、お願いします!」


「はいはいぐいっと、暴れないでね」


 ザク。


 ブシャー!


「んーーーーーーーーーーーーー!!!」


「はい贅沢に今回は戦乙女からの生搾り! 混ぜていくとどうでしょう! ゴブリンとはまた違ったマヨネーズとなりました」


「こっちは、これは普通にうまそうだな」


「でしょ? この壺、用いた血液に応じてマヨネーズの品質も変わるのです。そこらにいるような雑魚ならば普段の食事にあるいは異世界商売に、戦乙女や姫君、エルフや女魔王などでも味が変わるので色々とお試しできます」


「でもお高いんでしょ?」


「そこは今回も頑張りました。お値段、ズバリ、処女の奴隷半ダース、半ダースでどうでしょう!」


「素晴らしい! つまりはマヨネーズ壺十二個分と思えば激安ですね」


「ご注文はそのまま、テレパシーでお伝え下さい。数に限りがございますのでお早めに」


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