異世界テレパシー‪❤️ショッピング

負け犬アベンジャー

戦乙女の黒コート

「チャンネルをご覧の皆さまはじめまして、私はパールウェーブ・コーポレーションの代表、ナナ=ビンテージと申します」


「アシスタントのヤスダです」


「さて始まりました異世界テレパシーショッピング、ご覧の通りテレパシーを通して、異世界生活をより豊かにできる商品を厳選してご紹介させて頂いただこうと思います。それでは早速、記念すべき商品の第一弾はこちら!」


「戦乙女の黒コートです」


「異世界に転生、あるいは召喚された際、皆様もコーディネートでお困りになられた経験、おありではないでしょうか? うっかりジャージで来てしまった、スーツなのに血塗れだ、こんなんならもっといい私服を着てればよかった。そんな時に欲しいのがこの、ヤスダ君、台座回して」


「こうですか?」


「そうそう。こちらのコートとなります。ご覧の通りシンプルなデザイン、ボタンやポケットを取り払った洗練されたデザインは普段使いから戦場、ダンジョン攻略に冠婚葬祭、場面問わずに無理なくご利用できます。ヤスダ君、正面で止めて」


「はい」


「正面左胸には薄っすらとなんかの十字架な刺繍が隠れたオシャレを演出、さらに内側には隠しポケットを一、二、三、四と、四つもご用意。ここにお財布やポーション、隠しナイフなどを収納できる実用性も兼ね揃えております」


「でもお高いんでしょ?」


「ヤスダ君まだ早い。なによりも声を大きくしてお伝えしたいのが材質、天然の戦乙女、驚いて下さい、なんとその髪を贅沢に100パーセント使用でございます」


「えぇ! あの戦乙女を!」


「そうなんです。女の美しさの要とも呼べる長い黒髪を一人一人から丁寧に丁寧に刈り取り集め、丹精込めて織り上げたこちらの布地は光沢や美しさはもちろんのこと、対物理、対魔法、対呪術、対毒物までもが当社の商品テストをクリアした一品でございます」


「アレをテストと呼ぶならそうだな」


「そんな自慢の黒コート、いよいよお値段ですが、いいですか? 驚いてくださいね? このコート、先着五百名様に限り、チャンネル開始記念価格として、五百名様限定、無料で、そうただでプレゼントさせて頂きます!」


「え?」


「驚かれてる方も多いかと思います。それ以上になぜこれほどの品を、記念とは言え無料にできるのか。実は、こちらの商品、訳ありでございます。といっても商品の品質自体になんら問題はありません。ですがこちら、実は戦乙女奴隷狩の時の副産物となっております」


「いや、まて、脚本通りに」


「勇敢さと美貌で定評のある戦乙女、その奴隷ともなれば高級品、ですが捕獲しにくいのも事実です。せっかく捕らえたのにくっころさせる前に本当に殺してしまうことも度々なのです、そんな亡骸だからこそこのお値段、無料プレゼントなのです!」


「ふっざっけんなてんめぇ。赤字に赤字重ねてる余裕ねぇって人にラーメン屋のバイトさせてんの誰だこのクソ女神」


「さぁ! ご注文の方法です! 方法は簡単! 現在このチャンネルが観れているということはテレパシーでつながっているということ、なのでそのまま欲しいと念じればそれで手続きOK! 面倒なサインや住所登録など必要ありません!」


「話進めんな!」


ドッカーーーーーーン!


「クーヘン! 撮影中!」


「違うよー僕じゃないよー」


「じゃあ何が」


「見つけたぞ! 我らが姉妹の仇! 亡骸を辱めた蛮族ども! 姉妹の遺髪返してもらうぞ!」


「クッソ女神! やっぱ曰く品じゃねぇか!」


「それじゃあみんな! 注文どしどし待ってるよ!」

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