スカルアトラス 設定からキャラクターへ

巨大なヒーローにする。

骸骨をモチーフにする。

このふたつの要素が組み合わさったのは、ほぼ同時でした。

小説は内面を掘り下げるには向いているが、視覚的に大きなものを表現するというのは非常に難しい媒体です。

毎度、自分で絵が描ければどれほど楽だろうと思います。

脳内イメージを転写する技術を誰か開発してください!

(余談だが、異世界転生小説の良いところは現代の知識や表現を遠慮なく盛りこめるところだと思います。わかりやすいし、ギャップはつくりやすい。便利な比喩もしやすい。「骸骨のウルトラマンだ!」って言えたら、執筆速度はもっと上がる)


じゃあ巨大な人型に加える既存のイメージとして何を加えればいいのか?


骸骨なら視覚的にカッコイイ。生と死、聖と邪など正反対の要素を同時に象徴している。

死んでいるのに生きている、骸骨のヒーロー。

化石、考古学という設定に、骸骨ならば相性バッチリ。

中二病っぽいのもラノベっぽくていい。


ここまでは連想ゲームで、すぐに浮かびました。

だが、もっと特徴が欲しい。

たとえば骨の模様じゃなくて、そもそも巨大な骨がそのまま動いていたら面白くない?

うん、いける。

スカルアトラスの肉体は透明になり、中の骸骨が透けて見えるようになりました。

この着想にはふたつの根拠があります。

ひとつは、そもそも骨がむき出しである化石のフォルムがデザイン的に優れている。

もうひとつは特撮の巨大ヒーローは中に人が入っている点です。

ヒーローなんて着ぐるみじゃん、と言ったらすべて台無しです。

見る人は着ぐるみと知りながら、そのフィクションのお約束を理解した上で楽しんでいる。

その暗黙の了解がとても気になりました。

作り物が動いている。

それはあくまでも本物の、生きた存在として受け入れられている


その暗黙の了解が、そのままスカルアトラスの設定にもなりました。

人間によって生み出された、生きた骸骨。


ただ原稿の段階では私の脳内では、角が生えたリアルな骸骨として想像していました。

そこからhou先生のイラストによってスカルアトラスは設定から、ひとつのキャラクターに生まれ変わりました。

絵をかける人は本当にすごいです。

神秘性と可愛らしさの両立したデザインは、もうこれしか考えられません。

絵がつくのがライトノベルの良さだと、再確認しました。


〈宣伝〉

『スカルアトラス 楽園を継ぐ者〈2〉』2019年8月10日、電撃文庫より発売。

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