第4話  彼

 「おじさんで良ければ、話、聞くよ?」

と彼は言った。傷どうしたの?自分でやったの?なんで?どうして?などと、ずけずけと聞かずに、話を聞くとだけ言った彼に、好意さえ覚えた。私は彼に全ての経緯と打ち明けた。

「つまり、その幼馴染の友達に勝つために、今日?」

「うん。そういうこと。」

いつの間にかタメ口になっていたけれど、彼は嫌な顔ひとつ見せなかった。

「友達は、まだ交わってないから、先に交わって、そういう面で勝つってこと?」

「うん。そうだよ。」

それ以上は何も言わずに、なめらかに私を押し倒した。

「ゴム、つけてね?」

と言うと、今度は彼が言葉を発さずに、ただ首を縦に振った。

世間の目から隠れ、理性を捨てて本能のままに踊り狂う私達は、想像以上に情けなく、美しかった。それから私達は月2回のペースで会うようになった。

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