第5話
なんだかんだで、その会話から一週間経ち、2週間経ち、3週間目の途中まで来てもうお盆も終わった頃にようやく姉と予定があって姉の家に行くことになった。
もちろん理由はでっち上げで前に遊びに行った時に忘れ物をしたかもしれないから探させてくれという理由だ。
これなら探し物をしててもなにも不自然ではないし、ついでに何か変なものを見つけて持ち帰ってもバレなさそうという適当な考えだったが案外すんなりと話が通った。
あれ以来あの猫は夜にたまにまだ探さないのかなど話しかけてくるくらいだったが姉の家には入ってこれないようで今日も来る途中までは視界の端で何か騒いでいたが姉の家に来てからは全く見えず、声も聞こえない。
私は姉の家を隅々まで探したが見つけたのはもう何年も前に姉にあげたボロボロになった猫用の首輪だけだった。
姉は火葬場で見たあの泣きそうな顔でそれはあの子にあんたがくれた初めてのプレゼントだね。名前の入ったちょっと高いやつ。と教えてくれた。
そういえば確かにそんなのをあげた記憶がぼんやりとある。
言われるまですっかり忘れていたしかしあいつが探していたのはこんなものなのだろうか?
姉がそれは持って帰っていいよ、と言ってくれたのでこれは持って帰ることにした。
探し物は見つからなかったけど特に大事なものじゃないから大丈夫、と言って私は家に帰った。
家に帰ると、クロがすぐに飛びついてきた。
「おい!あったか!?もう時間がないんだ!お前にかかってるぞ!」
うるさいなあ、と思いながら私は見つけた首輪を見せてこれしかなかったよ、なんなのかもわかんないもの見つけらんないし。と私がボソボソというとクロの目から涙が溢れた。
「えっ、どうしたの、猫って泣くんだ、え?どうしたの??」
パニックになった私が慌てて話かけるとクロは涙を流したままありがとう、と言って消えていった。
「…………え?」
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