第4話

次の日目を覚まし、辺りを見渡してみた。どこにも猫がいた形跡は見えなかった。

あれはやっぱり夢だったんだ、そりゃそうだ。と安心しかけたところで後ろから私に話しかけてくる上から目線の声がした。


「おう、起きたか。じゃあ早速ご主人の家に行って俺様の忘れ物を取ってきてくれや。」


何様のつもりなのだろうか、と寝起きで機嫌の悪いはぼんやりと考えていた。


「私には私の予定があるし、姉さんの家に行くのは今日は無理だよ。大体その忘れ物ってなんなの?それがわかんないと持ってこれないんだけど。」


大体私が姉の家に行くことなんて半年に一度あるかないか、というところだ。


「それが俺様にも分からねえんだよ。何か大事なものだったことは憶えてるんだが、どこに置いてあるのかもそれがなんなのかもわからねえんだ。」


なんて使えない猫なんだ…。

自分がわからないものを私が探しても分からないと思うのだが、なぜこいつはこんなにも手に入れたがっているのだろうか。


「なにそれ、そんなのどうしようもないじゃん。もっとちゃんとした情報ないの?」


「そう言われてもなぁ、一応形のあるものだったような気はするんだが…。」


全くわからない…。

しかし私には今日も用事があるので姉の家に行くことはできない。

第一姉になんと言って家に入れてもらうというのだ。貴女の家で飼っていた猫がうちに来ています。遺品を探すので家に遊びに行ってもいいですか?とでも言えというのだろうか、精神の異常を疑われるだろう…。


「とにかく、すぐには探しには行けないから!今日もバイトあるから用意しなきゃだし、しばらくは無理だよ!?」


「おいおい!しばらくは無理!?俺様には時間がねえって言っただろ!リミットは今月中なんだよ!頼むぜ!?」


は??なにを言っているんだこいつは?いや、そんなやりとりをしてる場合じゃないもう家を出なきゃいけない時間なのに用意がほとんど進んでいない。やばい。


「そういう大事なことは先に言ってよ!もう時間ないから出発するけど、私が家に帰ってくるまでにはもうちょっとちゃんとしたこと思い出しといてよ!?」


これから大変だなあとか考えながらバイト先への道を急いだ。


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