第3話

死んだ猫と話してるなんて私は疲れているのだろうか…。

確かに今日はバイトが忙しく、疲れて帰ってきたけれど猫と喋る夢を見るほどではなかったはずだ。


「おいおい、遠い目をしてるけど俺様の話はこれからだぜ。さっき言った頼みごとの件なんだが、これは人間にしか頼めない話でなあ。」


あぁ、嫌な予感がする。

私の嫌な予感は当たることが多いんだ。


「大したことじゃあないんだが俺様心残りというやつがあってな、それを解決するためにお前の力を借りたいのさ」


「俺様ご主人の家に忘れものしちまってなあ、それを取りに行きたいんだが俺様猫だろ?だから家の鍵も開けらんねえし、勝手には入れねえのよ」


「だから人間のお前に頼みにきたのさ、ご主人の家に俺様が隠したものを取ってきてくれよ。そうしねえと俺様安心して成仏できねえんだ、頼むよ。」


やっぱりめんどくさい事だった…と頭を抱えたくなる。こういうのは断らないと大体損をするというのは経験で分かっている。


「いやあんた幽霊みたいなもんなんでしょ。普通に侵入ぐらいできんじゃないの?うちにも勝手に入ってきてるわけだし。大体姉さんの家なんてそんなに頻繁に行かないんだけど?」


さっさと断って寝てしまおう、寝て起きて全部夢だったことにして忘れようと思ってそう言うとクロはさらに続けた。


「さっきも言っただろ?決まりがあんだよ。育ての親の所には勝手に行けないのさ、だからご主人の家には俺様は入れないんだよ。」


なんて面倒な…。大体決まりって何…。

そんな色々な考えが頭をよぎったがもう疲れがピークで眠りたかった私はついこう言ってしまったのだ。


「分かったよ、やるから今日はもう寝かせて…。」


「本当か!引き受けてくれると思ってたぜ!ありがとよ!」


ああ、面倒臭いことになった…そう思いながら私は眠りについた。

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