第14話 オレの親友とクソアニメを議論する
「よお、誠一。昨日の『異世オレハーレム』見たかー? やっぱクソアニメだよなー。あれー」
「ああ、確かに。あれじゃあクソアニメだよ」
「だよなー。あそこのあのシーンで主人公の「どや?」ってセリフにはマジで鳥肌だったわー。あ、もちろん悪い意味でなー」
翌日。オレは友人の亮と昨日放送された『異世オレハーレム』の感想を言い合っていた。
「っていうか、あんなのが面白いとかマジで意味不明。視聴者も読者もあんなので喜ぶとかホント都合いいよなー」
「まあ、確かにそうなんだが、あれはアニメの構成も悪いね。あれじゃあ、本当のクソさが伝わらず別のクソさで苦痛だったよ」
「え?」
「そもそもあのシーン、本当ならヒロインの一人がポカをしてそれを主人公がドヤ顔で救出するシーンなんだよ。なのにいきなり敵が現れてそれを倒してヒロインが惚れるとかじゃ意味が不明すぎる。アニメの脚本もそうだし構成、あと作画もひどかったね。低予算丸出しだよ。十二話構成ってのは分かるけれど尺を削りすぎなんだよ。そもそも灼熱洞窟編を全部カットとか、原作ファンを蔑ろにしてるよ。あそここそ主人公の都合のいい俺TUEEEEが炸裂するのにまったく、マジでクソアニメだわ」
「ええと」
オレが吐いた批判に対し、珍しく亮がなんと言い返すべきか迷っている。
なんだろう、そんなにおかしなことは言っていないし。むしろ原作を見ている人からすれば当然の批判のはずだ。
「……誠一ってあの原作好きなの?」
「? いや、嫌いだよ。クソだと思っているよ」
「だ、だよねー。じゃあ、昨日のアニメもやっぱりクソだと……」
「アニメはそれ以前だよ。というかアニメはクソ改悪が多すぎる。そもそも一話目に主人公の転移までのくだりを全部省いてるせいで感情移入がまるで出来ない。原作だとあそこは重要なのになんでアニメはまるまるカットしてんだよ。クソ以前の問題だろう。あと二話目の今では定番になった主人公の「敵はカモネギかよ」ってセリフも原作にはないよ。あれのせいでカモネギ主人公とか言われているけれど、あそこのシーン全部アニオリだから。というかヒロインの声も棒すぎるのが問題。あれのせいでクソアニメって言われてる部分もあるし、そもそもユーチューベーを声優に使うなとあれほど言っただろう。原作は原作でクソなのにアニメはそのクソさをまるで表現できていない。マジでクソアニメだよ、ホント。オレが信者だったらキレてるぞ、クソがッ」
「ええと……」
思わずイラつきながらそう言ってしまったが、落ち着けオレ。
たかがクソアニメだ。そんなに感情を揺さぶられてどうする。
オレは必死に自分を落ち着けようと深呼吸をするが、その瞬間昨日のアニメの「カモネギ第二弾かよ」の主人公のクソアニオリ改悪がチラついて、更にムカついてきた。
「ま、まあ、よくわかんないけどクソアニメってことで流そうぜ。それよりも例の『一攫千金転生』がアニメ化するらしいぜ! あれ、最初はよくあるなろう系かと思ったら普通に面白いよな。こっちは『異世オレハーレム』よりも期待できそうだよな」
「ああ、そうだな」
亮の新しい話題にオレは気のない返事をする。
『一攫千金転生』か。まあ、あれは普通に面白い。
いわゆるなろう系の異世界転生でチートあり系だが、主人公はあまり嫌味がない努力型。ハーレム展開はあるが、内容は普通に面白い。
だが、『異世オレハーレム』に比べると毒がないというか……。こうツッコミところがあまりないものもなぁ……。
うん、普通に面白いんだけどね。普通に。
ああ、そういえば『異世オレハーレム』のアニメも残り数話か……。
もうすぐ終わるのか……。
そうか、そうなのか……。
二期あるのかな……。どうなのかな……。
…………。
……円盤買うか。
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