時間を追い求めるマイちゃん
「時間を戻れる時計を手に入れた」
「えっ? マジで?」
「うん、マジなんだよ。ケイくん」
「いやいや、そんな非科学的なこと信じられるか!」
「私的には自分が前科持ちの借金持ちであることの方が信じられない」
「それは単なる現実逃避だろ」
「——よくよく考えてみなさい、ケイくん。この小説のジャンルはなんだったかな?」
「はい?(新手のメタ展開かな……?)」
「思い出してみなさい」
「えっと、現代ドラマとか?」
「いやいや。SFなんですよ、この小説」
「えぇ……現時点で要素皆無じゃん……」
「ということで、スイッチを押して時を遡る時間移動の時計! そんな非現実的なアイテムが出てもおかしくないのです!」
「ふむ。帰っていい?」
「また同じこと言う! ふざけるな、お前はエンドレスエイトか!」
「……で、その時計がどうしたって? まさか使う気じゃないよな?」
「いや使う」
「何に?」
「競馬の結果を覚えて……」
「ドラ●もんならタイムパトロールが動くレベルだと思うぞ、それ!」
「いや誰が止めようと、私はこの時計を使う!——神は言っている、ここで死ぬ運命ではないと」
カチッ
「ただいま」
「……おお、帰ってきたか、ってそのお金は!?」
「さっきも言ったように、今知ってる結果を利用して当ててきた」
「マジでやってしまったのか……!」
「言っておくけど犯罪ではないからね? 現在の法律に『時間を遡って、知っている賭け事の結果を利用することでお金を儲けてはいけない』なんてないからね?」
「確かに……それはそうだが」
「ぐふふはははっ! これで私は借金も無事返せる! いやそれだけじゃない、お金持ちになることも夢じゃない!!」
「待ちなさい」
「ん? 何者だ!?」
「どうも未来人です」
「(急展開すぎる……僕帰っていいかな?)」
「未来人? 未来人が私に何のよう?」
「どうかそのお金を私たちに渡してほしいのです」
「なぜ?」
「そのお金を本来手に入れるはずだった人は、大金を手にしたあと自分の幸運に心から感謝して、世のため人のために大きな研究所を建て、有望な科学者たちのパトロンとなるのです」
「ふむ」
「そしてそのおかげで科学は急速に発展し、私たち未来人はタイムマシンまで作ることに成功するのです。なので、あなたにそのお金を奪われるわけにはいかないのです」
「ふむ」
「(時を戻る幼馴染に自称未来人……危ない人たちに囲まれてて泣きそう)」
「返してくれますね?」
次回 マイちゃんお金返さず殴られる
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