教育を追い求めるマイちゃん

「私、先生になりたい」

「夢を持つのは素晴らしいが教えられる側の気持ちも考えような?」

「——ということで。私が教師役、ケイくんが生徒役で!」

「えっ生徒と教師、一対一なの?」

「そう言われると思ってスペシャルゲストを呼んでいます!」

「まさかまたお父さんとかじゃないよな?」

「違います!! 私の妹、メイちゃんです!」

「初めまして、ケイくん! お姉ちゃんから話は聞いてます! なかなかクレイジーなやつでお姉ちゃんを日々苦労させてるらしいですね!」

「誤情報って怖い」


 〜


 〜


「さあみんな! 授業を始めるよ!」

「わーい、わーい、楽しみだな〜♪」


「(……帰りたい)」


「今度の遠足の話をします! 誰か質問はありますか!」

「先生、質問!」

「どうぞ、メイちゃん!」

「バナナはおやつに入りますか?」

「こらこらメイちゃん、先生はトイレじゃないぞ?」

「それもそっか!」

「「ハッハッハッハッハッ」」


「(えっ怖、何一つ理解できない、えっ怖)」


「1足す1はいくつかな? 分かる人〜!」

「はい!」

「ではメイちゃん、どうぞ?」

「2です!」

「で・す・が」

「えっ?」

「1足す1が2であることを証明しなさい」

「えぇ〜全然分からないよ!! もっと勉強しなくちゃ!」

「その気持ちが大事なんだよ、メイちゃん」

「そうだったんだね……! 先生……!」


「(さっさとPTAにしばかれないかな……この先生)」


「では次は英語です、リピートアフターミー! アイライクスシ!」

「アイライクスシ!」


「……」


「こらこら、ケイくん! 君もちゃんと私の言ったことを繰り返しなさい! リピートアフターミー! アイライクスシ!」


「I want to go home」


「リピートアフターミー! アイライクスシ!」


「I want to go home」


「アイライク、スシ……」


「I want to go home」


「ぐす……ぐす……あぁい……らぁいく……」

「あっケイくん、お姉ちゃん泣かせた! ケイくんのバカアホマヌケクズゴミ!!」


「悪かった、悪かったから泣かないでくれ! それとメイちゃん、流石に口悪すぎない?」


「ぐす……ならさ……ちゃんと授業受けてよ……ケイくん……」


「分かった。ちゃんと受けるから、頼むから泣かないでくれ……。アイ、ライク、スシ。ほらちゃんと言ったろ? 悪かったよマイちゃん。授業、続けてくれるか?」


「——うん!」


 ・


 ・


 ・


「お姉ちゃん、泣き真似が本当に上手だね!」

「まあ、道徳を授業するためだからね」

「訂正。僕帰ります」

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