愛を追い求めるマイちゃん

「ケイくん、時代は愛だよ」

「世紀末の世界に異世界転生させてあげたい」

「何てこと言うの!? 遠回しに死ねということだよね!? しかも転生だから二回死ねと!?」

「……」

「なんか言えよ!?」

「で、今回はどうしたのさ、愛だって?」

「そう愛だよ! この時代、冷たい社会、人々は愛に飢えている!! 今必要なのは愛なんだよ!」

「なるほど。愛に飢えてるんだね、マイちゃん」

「私は別に飢えてないけど……愛が大切だと思うこの頃なのよ」

「ふーん。帰っていい?」

「雑!!?」

「だってさ、愛が大事なのは当たり前だし、今更それを説いたところで感がない?」

「(思ったより正論……!)」

「この会話に意義を見出せないんだよ」

「そんな合理的じゃ、意味もない脈絡もない男子高校生の会話の輪になんか入れないわよ?」

「——何か男子高校生に恨みでも?」

「ともかく! 愛は素晴らしく、この現代にとってとても大切なものなの! それをどうにかして証明したいわけ!」

「ならまず愛の定義を決めないと」

「愛の定義……?(難易度高くね?)」

「定義なくして証明はできないよ」

「君さ、理由なしじゃ行動できないタイプやろ?」

「理由がなくても今帰ることはできる」

「ごめん、悪かった」

「で、どうするの? 愛の定義?」

「(愛の定義って……うーん。愛は人を味方にできて、協力して育んで、時に心を囲む存在……ってこれって)」

「愛の定義、分かった?」

「——まるで将棋だな」

「はい?(おい、ここカクヨムだぞ)」

「昨日の敵も今日は味方になり、みんなで協力して進み、時に王を守り囲む……まさに将棋と愛は完全一致!!」

「えぇ……」

「よし、愛の定義も決まったし、そろそろ愛のすごさを布教しましょう」

「お前はキリスト様か何かなの?」

「愛を布教するのに有効な手段は何だろう——駅前で経典でも配る?」

「あなたは今幸せですか、とか言われそう」

「うーん。ならどうすれば」

「愛を伝えるのに一番使われる方法って何だろう……」

「あっ」

「えっ?」

「愛を伝えるには歌えばいいのよ!!」

「えっ?(二回目)」


作詞作曲:マイちゃん

「愛が聞こえますか」


愛が聞こえますか 心に

金なんかじゃなびかないメロディ

命のため 大切な人のため

私は歌うのです

Oh〜(オペラ歌手レベルの歌い方)

(ドドド とかっこいいドラムの挿入)

咲いた花を見てるときに 微笑む私のような

優しい心を誰もが持っていたら

いいのにね いいのにな

あゝ 私を見習え


「えぇ〜♪」

「は?」

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