第14話 決着
『私の
雪解けの春の日差しのように柔らかい声が頭に響き、俺とアイリは暖かな
パキパキパキ
と体が凍りつき、冷気が漏れ出る。
「ヒエエエエエエエエエアアアアアァァァァァァァァァァ!???!?!?」
寒い寒い寒い寒い寒い寒い冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい、凍死すりゅ―――――――――――!!!?!??!?
『やはり私とご主人様は体の相性がよくないみたいですね。申し訳ありません』
「か、体の相性!?」
いきなり大人な発言されてキョドる
というか真面目にヤバイ。初めてソエルを憑依した時も、身体中の血が沸騰したみたいに、尋常じゃない熱に襲われたが、ほんの数秒で治まった。
でも今は違う。
アイリの声が聞こえているのに一向に体温が戻らない。体にまとわりついている冷気もそうだが、何より内側がよろしくない。多分心臓止まってる。無理無理無理無理無理無理無理、死にそう、いや、マジで死ぬ。
『落ち着いて下さいご主人様、大丈夫です。後、一分は生きていられます』
「短っ!?死ぬ?俺死ぬんですか!?」
『落ち着いて下さいご主人様、大丈夫です。初めての
「そ、そうですか。声が平坦すぎて全然分からないですけど、とにかく大丈夫なんですね?」
『落ち着いて下さいご主人様、大丈夫ですか?』
「いや、俺が聞いてるんですけど!!??」
『ウフフ、失礼しました。とりあえず詳しい話は終わらせてからにしましょうか、ご主人様は攻めと受け、どちらがお好きですか?』
「攻めと受けって、終わらせるってナニを!?」
『勿論この戦いですが?ご主人様はナニを想像したんですか?』
「い、いや、それは……」
『セ◯クスですね!!!分かりました!!!!!』
「言った――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
『あら、もうイッてしまったんですか?では、お掃除を』
「違う違う!!イッてないから!」
『では私に奉仕しろ、と?』
「いや、違うから!!さっきから何言ってんのマジで!?」
『あ、失礼しました。ご主人様はご奉仕されるよりお仕置きする方が興奮する
「ア“ア“ア“ア“ァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
会話にならねぇ!!!
『ウフフ、体は暖まりましたか?』
「え?」
あれ?そういえばいつの間にか寒さが無くなっているな。
いや、でも。
『はい。私の氷は特質魔力、契約者とは言え完全には扱いきれません。再び体が冷める前に終わらせてしまいましょう』
そうか俺にツッコマせて体温を上げるためにわざと変態発言をしてくれたんだな。
他にやり方あったと思うけど……、でも、
「ありがとうございます、アイリさん」
『ウフフ、私はご主人様の
「ハイハイハイハイ、無駄話は止めてさっさと終わらせましょうね~」
『この冷たい扱い、ハァハァ、興奮します』
「…………変態?」
『ご主人様!』
鋭い声が飛んできた。
「……ごめん、冗談だったんだよね?変態は言いすぎ」
『もっと蔑むように言って下さい!ハァハァ』
「…………」
ダメだこの人、ド変態だ。
『ありがとうございます!』
「うん……分かった、もういいや。で、何か策があるの?」
『勿論です。一気に射精して』
「は?」
『コホン、間違えました。魔力を全放出して山ごと凍らせましょう。』
「山ごとって、既に凍りついてるけど」
『それは私が無意識に放っていた氷の影響ですから、契約者を得た今の私の凍気はその比ではありません。今ならよりカチカチに固く出来るでしょう』
「あぁ……なるほど。じゃあやりますか」
『はい!ヤリましょう!』
疲れるな~、この人。
いや、集中、集中。全魔力を一気に……。
掌を下に向けて、意識を集中させる。
すると、ゴゴゴゴゴ、と地面が小刻みに揺れだした。
勿論、俺達の力では無く。
「いまさら何をしようとも無駄よ!!落ちこぼれと引きこもりじゃあ私の力は止められない!!!」
サラーキアの声だ。
『落ちこぼれと引きこもりだそうですよ?ご主人様。』
「間違っては無いね、さっきまでの俺達なら。でも今は違う」
『ウフフ、そうですね。私達は』
「精霊使いと契約者だ!!!!!!」
『主人と奴隷ですね!!!!!!!』
え?
「アハハハハハハハハハハハハハ!!!!なら望み通り二人まとめて死ぬがいい!!!!!」
サラーキアが叫ぶ。
決め台詞が全然まったく揃わなかったのにツッコミを入れないコイツはもしかして良い奴なんじゃなかろうか。
『ご主人様!来ますよ!』
「あぁ!」
アイリの声で再び魔力に集中する。
「死に晒せ!!!!!!!秘技千水!!!!!!
魔力全開だ!!!
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!」
『イク、イク、イク、イク、イク、イックゥ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!』
「何だこの冷気は!!??そんな、まさか、私が………こんなところで…………」
卑猥な叫びと共に迸った冷気が再び山をガチガチに凍結させたのだった。
魔力を出しきった俺はヘタヘタと座り込む。
「何か呆気なかったけど、終わった、の?」
『はい。ガッチガチに凍りついていますから、この中にいたらほぼ助からないでしょう。確かめる手段が無いので何とも言えませんが』
「そう、なら良かったよ。……でも、勢いで契約しちゃったけど、良かったの?」
『ウフフ、私は勢いじゃありませんよ?宣言通りキチンと責任とって貰いますからね?ご主人様』
何か大変な事になりそうな気がしてきた……。
あ、ていうか契約云々の前に、
「手紙、無くなっちゃった……」
サラーキアに握り潰された後、何処かに飛んでいってしまった。
周りを見回して見てもそれらしき物は見当たらない。
「ごめんアイリさん」
『いいんですよ、もう。あの子の気持ちは分かっていますから、それよりあの火の精霊さんは大丈夫ですか?』
「え?あ、そっか、ソエル!」
すっかり頭から抜けていたがサラーキアに捕らえられた上に魔法で操られていたんだ。
駆け寄って声を掛けても返事は無い。
早く山を降りた方がいいだろう。
そう、思って来た時に使った転移魔方陣の方を見ると、
「凍ってる……」
見事に凍りついていた。
ソエルがいれば簡単に溶かせるだろいが、残念ながら俺単身では相当に時間が掛かると思われる。
「歩いて降りるしかないか」
『待って下さい』
「? どうしたの??」
『大切な事を忘れていませんか?』
「?? 大切な事?」
何だ?何か忘れている事あったか?
『ウフフ、もう、雪山と言ったら相場は決まっているじゃないですか』
ピキン!
声と同時に体から冷気が消えて、変わりに目の前の空間が凍りつき、それはどんどん形を整えて美しい女性の氷像になり、そして透き通った氷は徐々に人の体に変化する。
『私の体、どうですか?ご主人様』
そこにいたの一人の美少女。
氷のように澄んだ薄青色の髪と瞳、整った顔はどこか冷たい印象を与えてくるが、何故か引き寄せられるような魅力を感じる。
だがそれより目を引くのは何と言っても破壊的に巨大な双丘だ。
ソエルも一般よりは大きい方だがこれは比較にならない。
スイカ並と言えば伝わるだろうか、とりあえず半端ない。
しかも、何より、今のアイリは全裸だ。
「アイリさん最高……です……」
ドサリ、
と大量の鼻血を流しながらライトは倒れた。
『ウフフ、雪山と言えばお互いの体で温め合うのがお約束ですよね』
こうして三つ巴の勝負は
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