第7話

「…屋上から来たって、そういう意味だったのか」


「はい」


雪乃は目を伏せた。


「じゃあ、土居雪乃は自殺したと?そして失敗して意識だけが学校を漂っていると。しかも未来の」


「未来の空間に漂っているのは、おそらく致命傷を負わずに生き残ってしまったからです。土居雪乃に未来がある証拠でしょうね、残念です」


俺は雪乃の肩に手を置いた。

そしてほとんど無意識に口にしていた。


「残念とか言うな」


雪乃は俺の手を振り払って、

その手で頰を平手打ちした。


精神世界ゆえに、全く痛みはなかったが、彼女の大胆さに驚いた。


「あなたに…相原さんに何がわかるんですか」


雪乃は目に涙を溜めていた。


「ああ、俺はお前のことを何も知らない。でもここで知り合ったのも何かの縁だろ、せめて言わせてくれ」


自分でも恥ずかしいことを言ってしまったけれど、後悔はしなかった。


「何かの縁…あなたは覚えていないと思いますが、確かに縁はありましたよ」


雪乃は目を伏せて言った。


「えっ…会ったことあったか?」


「ええ、本当に些細な事ですが」


少し不機嫌そうな声で彼女は言う。


「教えてくれ」


俺は雪乃に迫った。


「近いです、離れてください」


雪乃が後ずさりして笑った。


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