4.スキル決め★
「よしよし。じゃあ次はスキル決めだな」
スキル画面に切り替えるとこんな表示になっていた。
>>skill
<ActiveSkill>
●Auto1 A-2 +
<スキルが5つ選択できます>
<PassiveSkill>
<スキルが3つ選択できます>
「アクティブ5つパッシブ3つまで選ぶのが初回ボーナスだ。戦闘・生産・魔法なんかのメイン級スキルは初級スキルまで、他は条件さえ満たしていればどれでも選んでいいことになってる」
「このAutoっていうのは?」
「戦闘などスキルを使って活動する際にオートアシスト機能で使用できる枠だ」
「じゃあセットした5つ以外は使用出来ないってことなのか?」
「いや。設定した以外のスキルはマニュアル操作で発動することになるだけだ。プリセット枠がいくつかあるから場面によって使い分けるといい」
そして各プレイヤーには上記にプラスして30Pの初期【
この初期【BP】を消費して追加のスキルを獲得していくわけだが、このポイントは余らせるとキャラメイク終了後に破棄される。
そのため【能力値】への加算や【
スキルには【
【AS】は自分の任意で発動するスキルを指す。
〔PS〕は獲得すると常に発動しているスキルを指す。
【AS】には【ASポイント(以下ASP)】〔PS〕には〔PSポイント(以下PSP)〕と使える【SP】の種類が設定されており、このポイントでスキルレベルを上げたり進化させたりできる。
そして【BP】1Pで【ASP】10P、〔PSP〕5Pに変換できる。
「それとスキルは偏らせて取ることが出来ない。能力値によって取得数が制限されていて、強力なスキルほどコストが高くなる。例えば今の【STR】だと戦闘系スキルは÷5の端数切捨てだからコスト2の分までしかセット出来ない」
「コスト超えたら取得自体出来ないのか?」
「出来るぞ。出来るけどコストを超えた同列スキルの失敗率が上がるんだ」
「じゃあ魔法の種類をあれもこれもと取ると……」
「暴発しまくって場合によっては詰むな」
改めて聞くとバランスを取らないと不都合が出てくるのは仕様のようだ。
例えば【STR】に対して【DEX】の値が三分の一を割ると挙動のコントロールが不自由になったり、武器防具の損耗率が上がったりと言う具合だ。
魔法重視でスキル構成しようとしているので、それに関係するのは【M-ATK】の計算式あたりだろうか。【INT】×(【AGI】+【MND】÷2)=【M-ATK】なのでバカ正直に【INT】だけ伸ばしても魔法ダメージの伸びは悪くなる。
「ここの運営は極振り嫌いなのか?」
「そんなことは無いけど極振りは極振りなりのロールプレングを期待してるってところかな。極振りばっかになられても困るって言うのは確かだけど」
ざっと見てみても能力値が複数に跨っているスキルも散見される。
そもそも【基礎値】が前提になっているのに一つの能力値に偏りすぎるというのは滅多に起こらなさそうである。
魔法を使う前提だったので説明は省略されたが【基礎値】からスキルまでリアルのスペックを丸ごとインポートすることも出来る。
リアルスペックを数値に置き換えるとどうなるか気になるところではある。
しかしインポートは【BP】も配布されない。
魔法はもちろん武道経験がないと、まったく戦闘スキルがないまま『GexM』へ放り出されることになるので一長一短だ。
大体利用してるのはリアル生産系の人たちだそうだ。
机に置かれた日時計のようなものを見ると、3分の1ほどの位置に太陽の飾りが止まっている。
まだたくさん時間はあるともいえるし、自分の優柔不断さを鑑みるに十分あるとも言いがたい。
無言で差し出されるペンとメモ用紙に、お任せなんてしないんだろ? とさすが、以心伝心だ。
以下、スキル構成中をダイジェストでお送りします。
痛いのは苦手だからこの〔痛覚軽減〕は絶対取る。
魔法中心にするのは決まりとして、寄られた時の対策も取らないと。【回避】は絶対入れるとして、魔法と言えばお供は杖かメイスだよな……。
お、【棒・杖】ある。都合がいい。
【棒・杖技】が初級スキルになるんだ? じゃあこの【基礎:棒・杖】っていうのは? ……なるほど。じゃあ【基礎:棒・杖】をカンストさせたのと【棒・杖技】を取って合体させたらいいのか。
関連内包スキル? 初回ボーナスで選んだら内包分も込みで一つ分に……。生産だと関連が膨大になるから単純な戦闘スキルだけの仕様なのか。
【錬金術】もあるんだ。よく見たら必要BP10なのにコスト0だ。あれでもこれ能力値補正がない? 地雷臭半端ないな。
モフモフも気になるんだけど【召喚魔法】みたいなのは……え、ない? 某国の王族のみが使える血統魔術みたいな扱いだからプレイヤーに実装出来ない?
テイマー系だと【飼育魔法】があるけど、『動物』の調子見たり意思疎通したりする魔法だから戦闘に生かすには難しいのか。
戦闘で使いたい場合は課金の【分霊契約】のみ。何で課金? 死んでも時間で復活するようにするのに特殊なアイテムが必要なのと、アクセ装備扱いでパーティー枠を潰さない仕様だから無料にすると必須レベルになる。なるほど。
この【トリフォリロ謹製スキル】てなに!? 軒並み取得BP高っ!? しかも効能が玄人向けというか強力ではあるけど初心者が持ってても微妙な感じだし。
〔超回復補正〕はちょっと良さげだな。ん?注釈が……はぁ? 無理無理俺にはきつすぎる。VR中まで体験したくない。無し無し。
でも育成欲が出てきたなー。【精霊魔法】ってそれ系っぽいけどどうなの?
……へぇそんな感じなのか。……属性魔法ってそういう仕様なのか。じゃあカバーするのにこれとこれを……。
魔法って環境にも影響するんだ。【火魔法】取ろうかと思ったけど感じ掴めるまで様子見したほうがいいな。
へえこの魔法結構特殊な仕様なのか面白いな。身だしなみ的にも便利だしこれも取ろう。
ああー! コストオーバーしてスキル文字赤っー! 暴発で死ぬー!
BP変換してレベル上げたら……え? 低レベルの間は自力で上げたほうがレベルアップ時に【SP】のボーナスがつく?
じゃあさっき基礎のを上げたのは……基礎はボーナスつかない。あ、はい。
だぁー! この取り方だとBP不足する!
初回ボーナス分変えないと……。
必要BP書き出して……。
………………。
…………。
……。
「で、できたー!」
「おー。やっとか。おめでとう」
全身で喜びを表現するのを『俺』が拍手で祝福する。
目に涙がたまって眠そうにしてたのはスルーしてやろう。
どうにか初期BPを0にして最終的にステータスおよびスキルはこうなった。
【名前】ジョン・J・ドゥ(24age/Male)
【LV】1 (ハイヒューマン)
【meinJOB】遣異界使(ゲスト)lv1 【subJOB】blank
【HP】280/280 【MP】466/466
【EYE】36/36 【SEN】35/35
【ST】■■■■■■■□□□
【DOF】■■■■■■■□□□
<ETH>13 【STR】19 【AGI】16
<AST>19 【VIT】20 【MND】24
<CAU>13 【DEX】16 【INT】22
【ATK】304(+0)【M-ATK】440(+0)
【DEF】260(+0)【M-DEF】321(+0)
>>skill
<ActiveSkill>
●Auto1 A-2 +
【棒・杖技Lv1】▽【回避Lv1】【魔力視Lv1】【精霊魔法Lv1】【結晶魔法Lv1】
Manual
【細工:宝石Lv1】
【土魔法Lv1】【浄化魔法Lv1】▽
【魔法拡張Ⅰ】▽
【読書Lv1】【識別Lv1】
<PassiveSkill>
〔痛覚軽減Lv1〕
〔恐怖耐性Lv1〕
〔MP節約Lv1〕〔第六感Ⅰ:聴覚Lv1〕
〔並行処理Lv1〕
<language/knowledge>
〔一般共通語〕▽
〔一般知識〕▽
<title>
〔トリフォリロの加護〕
〔異世界から降り立つ者〕
で、タブで開閉できるものは開くとこうなる。
【棒・杖技Lv1】△
∟基礎:棒・杖Lv5★
∟整備:武器Lv1
【浄化魔法Lv1】△
∟家事Lv1
【魔法拡張Ⅰ】△
∟数Lv1
∟時間Lv1
〔一般共通語〕△
∟会話
∟筆記
〔一般知識〕△
∟一般植物知識
∟一般動物知識
∟blank
並べてみてみると最初の段階でもらえるにしては結構スキルが多い。
そんなにこの中で過ごせるわけではないので、楽しんでプレイするにはこれくらい必要なのだと思おう。
スキル全般に言えることだが、同じ系統で何段階かに分かれており下位スキルを鍛えていくつかの派生や上位スキルに進化させるといった過程をたどる。
派生・上位スキルに進化させた下位スキルはそのまま内包され、補正値はもちろん下位スキル時に覚えた技などは上位スキルの技の一部として使える。
そしてスキルレベル1、5、10と5の倍数毎に系統外だが『関連していると判断されたスキル』をセットできる枠が増える。
これが通称:関連内包スキルというわけである。
【棒・杖技Lv1】△……メインスキル
∟基礎:棒・杖Lv5★……下位スキル
∟整備:武器Lv1……関連内包スキル
内訳を見るとこんな感じになる。
この場合関連とは、扱ってるスキルの道具も扱いが分かってておかしくないよね。という理屈の元選ばれている。
他にも【受け流し】や【格闘技】なんかも選択肢に入っていた。
ただし戦闘スキルは【基礎】系スキルの有無で、道場で鍛えたか独学で鍛えたかの違いのような差が出てくるらしい。
なので関連スキルとしてぽんと取るには勇気のいる選択肢だった。
後スキル構成的にお金がかかりそうなので武器くらいは自前で整備した方がお得だと思ったのもある。
スキルは自由に入れ替えることも出来るので、後で個別にとって付け替えればいいだけだ。
それと関連内包スキルはレベル制限があり、内包中はレベル上限の半分までしかカウントされない。個別に取得しレベルをカンストさせた上で付け替えてもステータスは換算されたままだ。実際に攻撃力も技も運用できるのはレベル半分の機能までとなる。
また、関連内包スキル状態の場合さらに内包スキルをつけることは出来ない。
同系統スキルに関してはレベル制限はないものの、派生が発生しなくなる。
○正しい例
【棒・杖術Lv1】△……メインスキル
∟棒・杖技Lv10★……下位スキル(※この状態だとスキル派生しない)
∟基礎:棒・杖Lv5★
∟整備:武器Lv1……関連内包スキル
×間違った例
【棒・杖技Lv1】△……メインスキル
∟基礎:棒・杖Lv5★……下位スキル
∟格闘技Lv10★……関連内包スキル(※Lv5として攻撃力は再計算される)
∟基礎:格闘Lv5★(このスキルは外されマニュアルに回される)
例を挙げるとこんな感じだ。
結構複雑で分かりづらいが、この仕様の肝は【メインスキル】内に内包されたスキルをまとめて一枠に数えられることだ。
要するにオートアシストの枠を潰さず選択肢の幅を増やせるのだ。
実のところこの場ではよく分かっておらず、理解したのはプレイしてしばらくしてからだった。
顔に出ていたのか『俺』は懇切丁寧に教えるのをあきらめ実際に体験していけば分かると投げてくれた。
だって【浄化魔法】とかの例外もちょいちょいあるから全部説明受けてたら時間切れになってしまう。
【浄化魔法】はむしろ内包スキルが前提に無いと発動しない魔法だ。
家事・掃除・洗濯など綺麗にするための補助と言っていい。
【家事】はそのままの通り広く浅くのスキルだ。
料理などもしないとレベルは上がりにくいようだが、家で多少やってることなのだから大丈夫だろう。派生も期待できる。
【浄化魔法】を抜かせば【精霊魔法】【土魔法】【結晶魔法】が主に使用していく魔法になる。
【精霊魔法】をメインに【結晶魔法】で補助していく考えだ。
【精霊魔法】は魔法の中でも特に特殊で、宝石など魔力を通しやすい結晶に精霊を集めて代わりに術を発動してもらう魔法になる。
上位スキルがない。魔法レベルの術しか放てないという減点はあるが、
【細工:宝石】で宝石の扱いを補助する。
【結晶魔法】は宝石類が手に入らなかった時の保険だ。
【精霊魔法】と【結晶魔法】を同時に扱うため〔並行処理〕も取った。
【魔法拡張】はその結晶生成の効果時間の延長を狙ったものだ。
【魔法拡張Ⅲ:物質化】もスキル欄にはあったのだが、条件がそろわなかったのでこれの取得も目指していくことになる。
【結晶魔法】は【土魔法】と【火魔法】の混合属性だ。
魔法の底上げのため【土魔法】も取った。
【火魔法】は様子を見ながらおいおいだ。魔法の仕様を考えると火系スキルは活躍しづらく、無駄になるかもしれないと思ったからだ。
それと精霊を確認しやすくするための【魔力視】や〔第六感Ⅰ:聴覚〕。
精霊以外の声などが聞こえて恐怖で活動できなくなるのを危惧して〔恐怖耐性〕で精神ケアもできる。
魔法を取りすぎたため、うっかりコストオーバーしたので【読書】と【識別】を取りカバーした。
【読書】は本を見ている間MPを消費して時間の感覚を伸ばすというもの。
実際はものすごいスピードで本を読んでいるだけだが、プレイヤーには普通の速度で読んでると感じる。
【識別】は検索サイトの画像検索のようなもので、類似の物品知識から候補を絞るという効果だ。
称号〔トリフォリロの加護〕の効果はメニュー機能拡張。
おまけで〔一般共通語〕〔一般知識〕が付いている。〔一般○○〕といったこれらは『GexM』内での一般常識のため能力値補正が付かない。
称号〔異世界から降り立つ者〕は……〔スキルコネクト機能追加〕ってなんだこれ。
「それは全プレイヤーが獲得してるものだ。メニュー拡張も含めて転移特典って奴だな。色々まだ確認が足りないだろうがそろそろ時間だ」
「え、もうそんな時間!?」
時間切れというように『俺』はウィンドウを閉じタブレットを持ち上げた。
『俺』の指先でタブレットが高速回転したと思ったら、一瞬で何か別のものに変わっていた。
現れたのは高さ8~7cmほどの金古美色の筒のようなもの。
詳しく目に入れようとする前に新しいウィンドウが開く。
「暗証番号……?」
「これは『メニュー・クリプテックス』……『GexM』内でメニュー画面を開くのに必要な携帯端末だ。とりあえず説明する前に暗証番号を登録してくれ」
登録が終わり「『オープン:メニュー』と唱えて暗証番号を認証してメニュー画面を開いてくれ」との言葉通り番号を入力するとメニューウィンドウがばららと展開する。
使い方をレクチャーされ、この端末を使わないとメニューが開けないこと、紛失、盗難、破損等のデスペナより重いペナルティなどの注意を聞かされる。
特に自他問わず故意に破壊する行為は最悪アカウント没収もあるとのこと。
次に端末の作業が終わると特典や装備品の確認だ。
・支度金500RM
・【初回限定】エージェンツ一体確定10連ガチャチケット1枚
・フード付きポンチョ(簡易空間収納付き)
以上がプレイヤー全員に渡される初回ログインセットだ。
『
こちらの価値で言うと1RMで缶コーヒーが一本買えるか程度らしい。
ポンチョはカラーバリエーションが色々あったが無難に黒をチョイス。
イベントリがあるのに空間収納付きってとツッコむと、なんか意地らしくて……と目をそらされた。
他にもホテル予約特典があったらしいのだが手違いがあって後日渡されることに。
追加RMが特典だったらしいのだが、運営からはそれを特典にしないよう通達しているはずだったという。
行き違いなのかワザとなのかともかく、他にも同じような事案があるのでまとめて精査して改めて特典をつけていくらしい。
何で追加だめなんだ?と聞くと、公式掲示板で『新規PL定期預金』で検索してくれとはぐらかされた。
「さて、この世界での注意で最後だが……」
「あれだろ。住人一人ひとりに人格があるからNPCなんて心無い扱いはしないようにとかそういう奴だろ? ちょっとそれっぽいこと言ってたし」
「おーそうだ。正にお前が最近趣味で漁ってるVRMMO小説のような感じだ」
後にヘルプで説明を受けたが、この『GexM』は一人ひとりプログラムされたものではなく、種の起源から進化・絶滅・盛隆・衰退のシミュレートを繰り返して構成された世界だという。
住人がどれほどの情緒を持って暮らしているかは運営にも未知数らしい。
ほんのちょっと、AIでも一人の人間のように接する自分……なんて美化した妄想を頭に浮かべる。
それを止めたのはそれまでの空気を変え、真顔になった『俺』だった。
「だが俺が注意したいのはそれじゃないんだ」
「……え。違うの?」
「プレイヤーがいるからこその住人ではないし、住人からしたら住人のための世界だ。そしてプレイヤーは外様の人間だ。ここまでは分かるだろう?」
「あ、ああ……」
「一人の人間っていうことは全員に善意があり、全員に悪意がある。善意を返せば必ず善意が返されるわけじゃない」
「え、あ。え?」
「具体的に言うと、ちょっと二言三言言葉を交わして親交が高まったかなと思っていたら、そこは元々よそ者に排他的な村で何か問題が起こったら村人全員から犯人だと締め上げられたり」
「……」
「にこやか親切な商人さんと仲良くなったと思ったらいつの間にか身包みはがされて奴隷として売り飛ばされてたり」
「ま、ま……」
「そういえば女性プレイヤーからこっぴどく袖にされた住人冒険者が別の女性プレイヤーを乱暴しようとしたなんてことも……」
「待て待て待て!」
思わず言葉をさえぎってしまった。
これレーティング的にはR15のはずなのにそういう行動もありなの!?
……じゃなくて。
「俺それ系のギスギスしたのあえて外してた奴っ……でもなくて!」
「大丈夫大丈夫。
「でもそういう注意をしなきゃってことは……」
「現実でも海外に行く時は十分自己防衛出来るか考えさせられるだろ」
ちょっとコミュ症の気がある俺に効く奴! と打ちひしがれていると『俺』は他国に行く条件とか達成するのに時間かかるからと笑っていた。
それまでに覚悟しておけと言うことなのか。
それとも『GexM』にそこまで居続けられるのかと言われてるのか……。
「GM勢からは住人とトラブルがあった場合、気軽にGMコールしてねと言われています。活用しましょう」
「プレイヤー同士のトラブルだけじゃないのか……じゃあ」
「あ、ちなみにいかなる理由があろうと住人を殺害やそれに準ずる罪を犯した場合はリアルにて指紋含めた個人情報を警察に登録させていただくことになってます。規約○○ページ」
「はぁぁぁぁーーーー!?」
「仕方ないのだよ。
新規登録時の指紋取り等の意味がここで明かされてしまった。
『GexM』内の刑罰はそれぞれの国の法と照らし合わせた上で、上司となる電脳女神トリフォリロが裁くことになっているという設定だ。
プレイヤーは基本的にその裁量に了承している国にのみ行くことが出来るとなっているんだとか。
現実では前科扱いにはならないので安心して欲しいと言われたが安心できるはずなかった。想定される色々を想像すると頭が痛くなってくる。
これは合意を得ない『
「いやでも定番の『盗賊』あたりとかどうなって……」
「とりあえずそこら辺はまとめて後でヘルプして」
「大分投げやりになってきたな……」
もう時間無いからな。と苦笑されるとため息しか出ない。
仕舞いには思ってたのと違うなってプレイするのやめるか? なんて聞いてくる。
「……そんなわけないだろ! ここまで来て引き下がれるか!」
「そういうと思ってた! では『この姿でもってこの世界を自由に謳歌することを許可します』」
『俺』がそう言いながら柏手を打つと、足元から旋風が巻き上がった。
思わず目を瞑ってしまい目を開けると、鏡を見ずとも自分の姿が『俺』の姿に変わっているのが分かった。
「そこの扉から外に出ると最初に滞在する町を選ぶ場所に出るから、案内に従って移動してくれ」
扉に向かって『俺』に背を向ける自分に、彼は手を振りながら見送った。
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