第3話 幕間
好き、嫌い、好き、嫌い……
ああ、そうか。
花占いって、花弁の数が偶数か奇数か分からないお花を使わないといけないんでしたっけ……たしか、ヒナゲシが最適だとか。
帰りが遅い主人を待ちながら、何気なく始めてみましたが、嫌い、で終わってしまうことが多いのは、そのせいですね。
足の指は全部で十本。
手の指も全部で十本。
手近にお花が無いとはいえ、お人形さんをむしったら、嫌い、で終わってしまうのは仕方ありません。
でも、家にはそもそもお花なんて無いですし……
そうだ、歯なら何本あるか知らないですし、歯にしましょう。
好き、嫌い、好き、嫌い、好き……嫌い。
……またしても、嫌い、で終わってしまいました。
歯って、偶数だったんですね……
でも、どうしましょう。
これだと、主人が私を嫌っている、ということになってしまいます。
私は、こんなにも主人を愛しているのに……たとえば、お人形遊び用のお人形さんにヤキモチを妬くくらいに。
ああ、そうだ。
舌をむしってしまいましょう。
そうすれば、全部で奇数になります。
はい、好き。
これで安心です。
でも、主人も酷いですよね。
私というものがありながら、お人形遊びばかりして。
そのくせ、すぐに飽きて捨ててしまうのですから。
こんなに可愛らしいお人形さん達なのに、勿体ない。
それに、処分するのだって大変なのに……
ああ、そうでした。
今も、お人形さんの処分をしている最中でした。
花占い興じている場合では有りませんね。
早く、このお人形さんを処分しないと。
ああ、でも、きっと明日にはまた、新しいお人形さんを持って来てしまうのでしょうね。
主人の趣味に口を出すのは、あまりよろしくないと思いますが、もう少しだけ自重なさってくだされば良いのに……
でも、仕方ありません。
主人と結婚するに当たっての条件が、お人形さんの処分を手伝うことでしたから。
さて、処分の続きを始めないと。
排水管クリーナーは、どこにありましたっけ……
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