FILE02 エイリアンの帰還
「や、やっと頭のパチパチがおさまった……。ここはどこかしら?」
見知らぬ場所でへたりこんでいたわたしは、よろよろと立ち上がり、あたりを見回す。
目の前には巨大な倉庫。見た感じ、かなり古い。
そして、倉庫から少し離れた右側には、これまた大きな給水タンクが見える。
この二つの建物から導き出される結論は……。
「だ、ダメだ。ここがどこなのか、ぜんぜんわからない」
こんな遠い国にまで来て、わたしはまたもや自分の不思議な力に悩まされていた。
炭酸ジュースを飲んだら頭がパチパチ! となって、
クラスメイトのみんなと近所の海に遊びに行った時、喉が渇いたわたしは炭酸ジュースを飲み、急に震えだした。
鈴木さんや他の子たちが「どうしたの⁉ 大丈夫⁉」と心配して、わたしの体にふれた。その直後――。
わたしとわたしにふれた四人が、砂浜からだいぶ離れた海のど真ん中に
ライフガードのお兄さんがわたしたちを何とか助けてくれたけど……。カナヅチだった鈴木さんはひどくおびえていた。
「
鈴木さんたちはそう騒ぎだし、新聞やネットニュースに「超能力少女の恐るべき力! クラスメイトを
とにかく、こんな力、ろくなものじゃない。
移動するのは最大でも半径2、3キロメートル以内の範囲だから、とほうもなく離れた町や別の国に行っちゃうという心配はないけれど……。
「でも、ここは日本じゃなくてアメリカ! 土地勘がまったくないところで
ポン! コツ!
ポン! コツ!
わたしは半泣きになりながら、自分の頭を両手でたたく。
すると、クスクス……という忍び笑いの声が後ろから聞こえてきた。
え⁉ だれ⁉
もしかして、わたしが
わたしは
そこにいたのは、わたしと同じくらいの身長の、青白い顔の男の子。
男の子は、
その大きな瞳に、わたしは何か不思議な……魔力のようなものを感じた。
「あなた……だれ?」
わたしが恐るおそる声をかけると、ミステリアスな彼は静かに笑い、
――ボクの名前は、アロだよ。
と、わたしに伝えた。唇を動かさず、声を発することなく。
彼は、わたしの脳に直接メッセージを送ってきたのだ。
これって、もしかして……テレパシー?
――「あの事件」から75年もたっているのに、まだこの格納庫があったとは驚きだね。
わたしの脳に、アロと名乗る少年のメッセージが響いてくる。
「格納庫って、あの大きな倉庫のこと? 75年前の事件って……何の話をしているの?」
今年が2022年だから、75年前というと1947年――92歳のひいおじいちゃんが17歳だったはず。
そんな大昔に何があったのか知らないけれど、わたしと同世代の男の子が75年前を懐かしむような発言をするなんて、違和感しかない。何だか不気味だ。
――……どうやら、まだ目覚めていないようだね。
漆黒の瞳でわたしをじろじろと観察していたアロは、ちょっと失望したような顔になり、そんなメッセージをわたしの頭に送ってきた。
「え? 目覚めるって、何のこと?」
――75年ぶりに、地球に危機が迫っている。急いでアレを見つけるんだ。
アロはそんな謎めいたメッセージを残すと、わたしが
「て……
わたしは驚いて周囲を見回す。でも、アロの姿はどこにも見当たらない。
もしかしてスーパーマンみたいに飛んでいったんじゃ……と思ったわたしは、空を見上げてみた。
上空には、アロの姿はなかった。
そのかわり、空にぷかぷかと浮かぶ巨大なお皿があった。
「ち、ちがう! お皿じゃない! 空飛ぶ円盤……UFOだ‼」
わたしはそう叫び、尻もちをつく。
銀色に輝く宇宙船(?)は、わたしを見下ろすように10秒ぐらい空で停止していたけれど、やがて船底にある6つの黄色いライトがピカピカ点滅しだした。
6、7回ほど点滅すると、UFOは音もなく動き出し、ジグザグ飛行で空のかなたへとあっという間に消えていった。
「あ……
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