第7話 『気違い~language~』
「伸夫さん、サッカー興味あります?麻雀でペアチケット貰ったんですよ。僕そんなに興味ないので、みずきさんとどうですか?」
「ありがとう。サッカーかぁ。俺もそんなに。林田さんと行けばいいしょ。」
「いや、まずは一ノ瀬さんに聞いてからと思いまして。じゃあ、林田さんどうすか?」
「良いんですか?チケット買ってまでは行きませんが、チケットあるのなら行きたいです!」
「しまったなぁ。俺、興味ないんだよなぁ。美里さんにも声かけたんだけど行かないって。ペアだから誰か誘って行ってくれないか?」
「誘う人はいません。」
「お母さんとか、妹とか姉とか。」
「30過ぎのいい歳した男が母親と2人でサッカー観戦は... 兄弟も」
「じゃあ、ひとりで行けばいいやん。」
「流石にひとりはちょっと...折角なので一ノ瀬さん行きましょうよ!」
「仕方ないなぁ。貸しやぞ?」
数日後
「おはよう」
「おはようございます。伸夫さん。あれ、隆太さん来てないですね。」
「遅刻だな。お決まりコース。この時間に来なかったら2時間後。それでも来なかったら休み。パターン化されてるな。」
「伸夫さん(苦笑) でも、確かにそれわかります(苦笑)
前は定時にいないと大丈夫かなと心配しましたけど、今はまたかと心配しなくなりました(苦笑)」
2時間後
ハンカチで汗を拭いながら一ノ瀬さんが姿を見せる。
高島(伸夫)さん、美里さんに挨拶をする。
「おはようございます。」
「一ノ瀬さん、おはようございます。大丈夫ですか?どうしたんですか?」
「いやぁ。寝違えてしまって、整骨院寄ってからきましたわ。」
首をさすりながら話す。
「お大事に。」
伸夫さんの重低音が響く。
そこに、みずきさんが現れる。
「一ノ瀬さん、遅刻、また腰?」
「寝違えてしまって、整骨院寄ってから来ました。だいぶよくなりました。」
「あら、そうなの。前にも腰悪いって聞いてたから腰だとばかり思ってたわ(笑)」
「いやぁ。」
頭をポリポリ掻きながら苦笑いをする一ノ瀬さん。
「美里さん、残念でしたね。」
話題がかわる。
「そうなんです。トランプのせいで(?)ビザ下りなかったんです。ホント、残念です。悔しくて泣きました。」
美里さんは、タイ人の男性と今年婚約しカナダに二人で生活拠点を移そうと考えていた。
それが、ビザの申請が通らなかったという。
「僕は、まだ美里さんと一緒にいられると思うと嬉しいですけどね。」
一ノ瀬さんが照れ笑いを浮かべる。
3日後
「明日、18:30にスタジアムの南ゲート集合でいいですか?」
SNSメッセージアプリを利用していない一ノ瀬さんにメールを送る。
「はぁ?サッカー興味ないのに君のリクエストに応えてるんだぞ?気違いだなぁ。あまり、調子に乗らん方がいいぞ。駅集合までがせめてだ。」
主導権を握られるのが嫌なのか、気違い呼ばわりされる始末。
無駄な労力だしやりあうつもりもないので適当に流し、
「では、18:30に駅の北口集合でいいですか?」
「了解」
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