第3話 出社したら缶詰ですが

 十二時はお昼の時間ではない。その日その時の仕事の進み具、時間が空いた時、どうしてもお腹がすいて仕事が手につかない時に社員はお昼ご飯を口にする。

今日は十四時に昼食をとる。暗黙の了解で、一度出社したら退勤するまで外に出ることができない私達事務員は、常にお弁当か出社前コンビニで買った昼食を持参している。お昼になったからどこそこでランチにしましょう、社員食堂に行きましょう、小さなお財布持ってるんるんるんというのはドラマの中での世界だ。

 会議室でもなく、休憩室でもない、ただただ自分の机の上におにぎりを広げてもくもくと咀嚼するのみ。忙しい時は片手でおにぎり、片手でマウスで仕事をする。学生時代もとくに食に興味がなかった私はいつもおにぎりかサンドイッチ、食べるのが面倒な時は飲むゼリーや、固形栄養食品を口にしていた。社会人になってからは周りの目もあるのでいつもおにぎりを食べているが、たまにゼリー飲料が恋しくなる。

 事務主任はいつもお手製のお弁当を広げている。

なんの会話もなくもくもくと食べ、食べ終わったら仕事にとりかかる。これが私の昼食の時間だ。さらに勤務中はスマートホンの操作も一切できない。何かあったらパソコンメールか社用携帯で連絡をとる。事務所にはテレビもないため外の世界で何が起こっているか、私達には一切わからない。退勤して電車に乗ってからあの時の謎の揺れは地震だったのかと気付くこともある。


社内のメールフォルダを開くと、今日の飲み会のお知らせが回っていた。

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令和の時代に給湯室 深青藍 @seiran_hukami

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