第1話 

ジリリリッ ジリリリッ

「う~ん」

俺は目覚まし時計を止めて二度寝をする。

所詮相手は目覚まし時計。

例え「起きて❤️」と愛のラブコールを放ったとしても消してしまえば一発KOなのだ。

……けど。その誘惑に負けてしまったら1時間後に起きて遅刻するというのが定番のオチで…。

********************


「…やっぱりだああああああ!」

だよね、やっぱりこうなるよね!こうなっちゃうよね!

現在の時刻は8時半。40分にチャイムがなるから…。

「………誰だよ、お前。」

玄関を出るとそこには見知らぬ女子、いや、女装したバカが立っていた。バカはくねくねして言う。

「いや~ん、拡(ひろ)くんおそお~い❤️もお~拡くん、遅刻しちゃうよ?」

…よし、無視しよう。

俺は何事も無かったようにいつもの通学路を走る。と、そこに尋常じゃないスピードで追いかけてくる友達の悠太(ゆうた)。

「うわっ、てかお前なにやってんだよお!」

俺は走りながら叫ぶ。

「いや~ん❤️拡くん逞しく走ってるわ~ん❤️」

「うえ、気持ちわりい!」

必死に走っているとふと、体が止まった。止めたのではない。止まったのだ。これ以上足を前に進めることができない。俺が不思議に思っていると、足下から声がした。

「捕まえた❤️」

「……お前、一回死んでこい!」

……なんやかんやあって無事(?)に学校に着いたけど、(もちろん遅刻したが)俺はうろたえていた。先生も困惑して言った。

「……………藤崎、お前なんでそんな格好してんだよ。」

「…てへ❤️」

「てへじゃない!お前ら、遅刻した上に藤崎は女装してきたから、今日鍵当番だかんな!」

…………んなああああああああああああ!?


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時が止まった世界 西野猫音 @akumachann

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