あとがき



 第四部、終わりました。

 今回は第三部までとくらべると、書きおえるのに、ちょっと時間がかかりました。というのも、今までは連作短編の作りだったので、一話ずつのネタで書き進められたんですが、今回、ご覧のとおり全編一話の長編構成になってますので。


 やっぱり長編は伏線の張りかたとか、ラストに向けて矛盾のないプロットとか、いろいろ、ややこしいですね。

 でも、おかげさまで、ここ数年に書きおろした話のなかでは、かなり凝った作りで、しっかり本格SFになったかなと思います。


 以前はまずノートに下書きして、それをパソコンで清書し、二、三度推敲していました。一般公募用に書いてたので。


 近年はその時間がとれないので、ちょくせつスマホで書きながら公開するという方法をとってます。一発勝負ですよね。なので、以前の趣向をこらした『アントリオン』とか『仮面の恋』とか『タイプJ』とかにくらべたら、わりと単純な話が多かったです。文字数も少ないですしね。

 スマホで直書きした作品は、『輪廻の力学』『分身』『箱庭』『ブラッディレッドの海』あと、短編すべてと、八重咲探偵シリーズ全作ですね。読みくらべると、なんとなく納得できるかも。


 まあ、これらのなかでは今回の『螺旋の巣』はけっこう頑張ってるほうではないでしょうか?


 途中で龍郎がバカみたいに「青蘭」「青蘭」と言ってますが。この人、べた惚れですねw


 近況ノートには書いたかもですが、螺旋の巣は、遥か昔に書きかけて途中で放棄したSFが元になってます。でも、あまりにもヘタクソすぎて、ぜんぜん使うことができませんでした。

 使えたのは、友達を助けるために、真社会性の世界に夢を通して入りこむっていう最初の設定と、サンダリンのキャラクターくらいですね。

 もう他はアホすぎて、まったく使えませんでしたが、サンダリンだけは捨てられなかった。ほぼ、初期設定のまま使うことができました。


 真社会性について、ちょっと書いておくと、真社会性生物とは、蟻、蜂などの女王を中心とした社会を築く生物のことですね。哺乳類では、ハダカデバネズミがゆるい真社会性を持ってます。


 ところで、今回の白蟻も、たしかに真社会性の生物ではありますが、蟻や蜂とは厳密には少し違っていて、女王と王による社会なんだそうです。


 じっさいには真社会性生物は、数が増えると、若い女王候補が働き蜂をつれて旅立ち、別の巣を作ったり、白蟻は王子や王女には羽が生えて飛んでいき、大人数でお見合いをしてパートナーを見つけ、それぞれの巣を作ったりします。


 今回はSFホラーなので、そのへんはちょっと変えてます。


 あと、白蟻は白蟻と言うけど、蟻ではありません。多くの人が嫌いな夏に出るあの黒いやつの仲間なんだそうです……|||(-_-;)||||||

 キモイよw


 ところで、今回は途中でいなくなったルリムですが、この人(っていうか、この悪魔)は、後日、まだ出てきます。晴れて女王になって、龍郎たちにからんでくる予定です。


 あっ、途中で消えた設定と言えば、清美が冬真のことをちょい好きだったのに、忘れてたw

 もうちょっと長ければ、現実部分でそういうのも盛りあげればよかったですね。


 最近、イベントの規定文字数が、10万字から15、6万字っていうのが多いので、それに慣らされてしまって、八重咲シリーズはとくに縛りがないのに、今回も10万4000字弱っていうピッタリ感でした。慣れって怖いですw


 ところで、今回、ルリム・シャイコースが出てきますが、もともとのクトゥルフ神話とは、かけ離れたものになってます。元祖は途中でリエルが言っていたように巨大な蛆なんですよ。

 ツァトゥグアでさえ、そうとうにグロかったらしいので、蛆はやめときました。蛆の女王じゃ、サンダリンとのラストが絵にならないし……(;゚∀゚︎)


 ちなみに、サンダリンと打つと、最初のころはスマホの第一候補が、しまざわ、って出してきたんですよ。さんだりんで、なんで、しまざわなんですかねぇ?


 まあ、八重咲探偵シリーズはクトゥルフ神話関連の話ではありますが、かなりゆるい使いかたをしています。

 別に厳密にこだわるつもりはないです。


 第一部で青蘭が食ったクトゥルフも、深海の巨大生物を夢でコントロールして一体化すると、そいつがクトゥルフになるって技が使えるらしいので、たぶん、のちのち復活してきます。


 青蘭が魔界につれ去られたせいで、なんだか予想以上にメインストーリーが早く進んでいきます。

 そのくせ、神父のライバル化がまったく進みません!

 今回、やっと、青蘭のお父さんと恋人だった宣言をしましたが、遅い。遅いよ、神父。


 えーと、あと裏話的なものはなかったかな?

 今回のラスト、青蘭のようすが、また変でしたね。

 青蘭は記憶の一部を失った状態です。一の世界の青蘭が死んでしまったからですね。


 なので、次回、第五部は青蘭の記憶をとりもどしながら、静養をかねて、あちこち旅をすることになりそうです。

 ふんいきや作りとしては、第一部の感じに近いです。カクヨムコンに出したいので、第五部だけ読んでも読めるようにしようと画策しています。


 南国を旅しながら、その土地土地の怪奇にまきこまれる連作短編です。


 あと、今回も死体を発見して警察のお世話になったので、第一部で龍郎を疑っていた刑事さんなんかが出てきても面白いですね。ちょっと探偵物っぽいw


 ところで、いつも、青蘭の話はちょっと古めのロックを聴きながら書いてるんですが、今回はたまたまセールで安く買ったオペラのCDがふんいきにピッタリでした。オルフェウスとエウリュディケのオペラで、イタリア語みたいですね。何言ってるか、さっぱりわからないけど、なんかいい。オルフェウスの声が中性的なところも青蘭っぽくてよかったです。


 今回もたくさんのかたの応援が励みになりました。

 ここに名前書くのは、ちょっと……と思われるかもしれないので書きませんが、ほんとは書きたいです。星評価のお礼はできるんですが、それも僕の近況ノートに書いてるので、ご本人が読まれてるかどうかもわからないし、くりかえし読んでいてハートも投げられなくなったかたは、僕からは読まれてるかどうかわからないし……。


 とにかく、星のお礼しかしてませんが、ほんとはハート貰ったかたやフォローしてくださったかたにも、いつも感謝しています。


 エブリから追ってきてくださった皆さま、カクヨムでどうやってか僕に辿りついてくださった皆さま。

 応援、ありがとうございますm(_ _)m


 ではでは、裏では引き続き、第五部を書いていきます。

 カクヨムコンにあわせて公開するので、十一月の末ごろになりますが、それまでお待ちくださいね。


 サブタイトルがしりとりになってることに前回、気づいたので、螺旋に巣食うの“う”で、次は、うから始まるサブタイトルです。今のところ、“海鳴りの”なんとかかんとかにしようかなと思ってます。

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宇宙は青蘭の夢をみる4(旧題 八重咲探偵の怪奇譚)『アザトースと賢者の石編』〜螺旋に巣食う〜 涼森巳王(東堂薫) @kaoru-todo

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