食事の回数と炭酸飲料

お昼休み、私たちの学校では学食がないため多くの人は購買にかけこむか、あるいは私のようにお弁当を用意して食べます。

「真白さん……」

「なあに?」

「なぜ当然のように私と向かい合わせになるように、机を動かしているのでしょうか?」

「えー一緒にご飯食べたかったからー」


そういうと真白さんは鞄から菓子パンとペットボトル飲料を取り出しました。

「お昼……それだけなんですか?」

「うーん、夜はおなかがすくんだけど昼はそうでもないの」

たぶん食べる量が合計で少ないから成長しないのではないでしょうか?


「それにね……朝と昼の食事の量が少なくて、夜に食事量が多い生活を続けていると肥満になりやすくなるんだよ……胸に脂肪が行く体質の人がうらやましいよ……」

(1日のトータルの摂取カロリーが同じでも、1度に大量に食べるほうが太りやすく、小分けに数回のほうが太りにくいと言えます。なぜかというと、食事の間隔が空いた場合、1回の摂取量が多くなり、食べ過ぎてしまったり、消化・吸収率があがったりする傾向があるんです。なので真白さんは肥満になりやすい食生活をしていると言えます。まあ、実際は真逆の幼児体型ですが……)


そういうと真白さんは私を羨望のまなざしで見てきました。

「……生まれつきだから仕方ないじゃないですか……」

「?私、遥ちゃんのこと言ったわけじゃないよ?」

じゃあなんでさっきから私の体を嘗め回すように見てるんですか!?


「と言うわけで、私は食事量をコントロールしてるんだねー。いただきまーす」

なるほど……事情は分かりました……でも……

「やっぱり、ちゃんと食事は取ったほうがいいですよ」

真白さんはメロンパンを口にくわえたまま、

「ほおー?」

と間の抜けた声を出しました。


「決めました、明日から私が真白さんの昼食を作ります!」

「ほえ?」

しまった!勢いで言ってしまいましたが、毎日自分と妹と真白さんの三人分のお弁当を作るなんて面倒極まりないです!

「じゃあ明日からよろしく~」

「ああああああああ!」




「ねえねえ、遥ちゃん、このペットボトル見て~」

「なんですか……真白さん……」

勢いで弁当作りを引き受けてしまったことを後悔している時、真白さんがペットボトルを近づけてきました。


「このジュースってさ、1970年からの人気って書かれているんだよね。暗い過去を感じさせない?」

「どうしてですか……?」

そう聞くと今度は真白さんはスマホを私に近づけ、


「このジュース、発売年が1965年。最初は超絶不人気だったんだろうね、『なんだこれ!泥水の方がまだマシだ!』とか『まるで飲む湿布じゃないか!』みたいな感じで」

「考えすぎですよ……」



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