知性と胸の発育は反比例する
今日は中間テストの返却日でした。私は英語以外ならそこそこの自信があるので、他の人たちが鬱々と答案を受け取る中、私は比較的平穏な気持ちで自身の結果を見ることが出来ました。
テストの点は社会と数学が96点、理科が100点、国語が92点とまあ、いつもどおりの結果でした。そして真の敵である英語はというと……
「……はあ」
83点でした。いつも英語が足を引っ張るため、学年で一番になれたことは一度もありません。
「遥ちゃん、私、凄いことに気づいたかもしれない……」
隣の席の真白さんが驚いたような表情で私に話しかけてきました。
「……今日は何ですか、真白さん」
胸をつつかれるのも嫌なので今日は素直に反応します。
「おちちついて聞いて……私はこのテストの結果とクラスの女子達を見て、ある仮説を立てたの」
「まず真白さんが落ち着いてください!」
そしてセクハラまがいのことが聞こえたんですけど!
「知性と胸の発育は……反比例する!」
「!!?」
そして真白さんはにやりと笑い、
「等価交換と言うか……それとも天は二物を与えずと言うのか……世界は良く出来ているわね」
何を言っているんですかこの人は!?
「いい?胸の発育は成長ホルモンと関係しているの。ところでこれは良く出る時間帯があります。何時から何時でしょう?」
これは聞いたことがあります。確かお母さんがこの時間に寝てないと大きくなれないって。
「えっと、22時から2時の間です」
「24時間方式で答えてくれてありがとう。そう、その間に寝ていないと成長ホルモンが出ず、発育が妨げられるの」
なるほど、そこまでは知っています。しかし……
「それがどのように知性と胸の発育は反比例する、と言う結論にいたるのですか?」
そう聞くと真白さんはいいことを聞いたね、と言いたげな表情をし、
「夜中遅くまで勉強して、故に成績がいい人は成長ホルモンが良く出ている時間帯に寝ていないことが多い。よって胸に関わらず発育が悪くなるの」
なるほど、納得は出来ます。
「それにね……胸の大きい奴はそっちに栄養がいってるから、脳の発達が遅くなるの!」
「!!?」
真白さん!それはないです!考えすぎです!
「でもこれ、あくまで仮説であって具体的に検証したことがないのよね。胸の小さい人のデータは私で取れるけど」
真白さんの胸を彼女にばれないようこっそり見ます。……あの、凄い言いづらいんですけど……まな板?小学生?そんな感じの胸でした。
しかし、これで真白さんの仮説は半分証明されたことになります。なぜなら、
「ちなみに私、実はテストで100点以外とったことがありません。だから胸の小さい人は勉強できるってのは証明できたね」
そうです。こんな感じの人ですが真白さんは頭がよいのです。
「次は胸の大きい人が頭の悪いことを証明したいから……」
……真白さん、私の胸を見ないで下さい。……つつかないで下さい!
「遥ちゃん、テスト見せて☆」
「………」
私は黙ってテストの答案用紙を真白さんに渡しました。
最初から分かってました。彼女の論理が破綻していることなんて。その上で遊びに乗ってあげていました。でも、頭が悪い扱いされて黙っている私ではありません。
「なっ……学年3位!?467点!?」
「胸が大きくても勉強できる人はいるんですよ!ばかああああ!」
テスト返却終了後、生きる屍となった真白さん。
「遥ちゃん……やっぱ世界は不条理だわ……ほとんど同じぐらいの頭で、そんな凄い胸囲は……脅威だわ。ずるいよ……遥ちゃん」
「ダジャレ言ってるってことは随分余裕ですね……」
そして真白さん、私の胸で泣かないで下さい。服が汚れます。
(真白さんが言っていることを真に受けないで下さい。実際は胸の発育と知性の関係に医学的根拠はありません)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます