怪我を怖がるくらいなら投げない方がいい

@yamamoto21

ご意見番の批判

 「なぜ投げなかったのか?怪我をするのがスポーツでしょう。痛くても投げさせないと」

 とある番組のスポーツコーナーでご意見番がこのようなことを言った。

 このコメントはSNSを通じて広がり、多くの批判が巻き起こった。

 そして有名選手からも批判や苦情が起こり、大きなムーブメントへと発展していった。

 しかし、そのご意見番は意見を覆すことなく、

「私がねえ学生の頃は全国に行きたくて行きたくてたまらなかったものですよ。投げなかったのは一番残念だった」と監督への批判を織り交ぜながらコメントをした。

 このことから批判の動きはさらにヒートアップして、ついにはご意見番が番組を降板するにまで至った。


 そして時は流れ、翌年の夏。

 予選から、全国大会まで、余裕をもった日程が組まれ、選手の投球数も多少の制限が設けられるようになった。

 日程変更や投球制限に及び腰だった連盟も、この大きなムーブメントには抗えず、渋々ながら制度の改善を行った。

 これにより、この年はより多くの注目選手たちが全国大会に出場し、大いに盛り上がる大会となった。

 このことを評価された連盟は、年を重ねるごとに徐々にであるが改善を行った。

 そして投げすぎで怪我をする選手は少なくなり、プロに行っても活躍をした。

 怪我の予防に対するこの対策は選手、監督だけでなくファンにとっても高評価であった。

 そうして大会はさらなる盛り上がりを見せるのであった。








 その盛り上がりの裏には、してやったりと笑う元ご意見番の姿があったという。


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