奪い取られた休日

2020年冬。

 新型コロナウイルス拡大が猛威を振るっている。


 最初中国で発症したころに、「へぇー」っと遠目にニュースを眺めていた頃が懐かしい。今となっては、我々の日常生活において、新型コロナウイルスに感染してしまってもおかしくない状況の瀬戸際まで来てしまった。


 皆が風邪予防を強めながら、どこか不安と焦燥が入り混じるような神経をピリつかせた日々を過ごしている。


 満員電車の中、飛行機や新幹線やバス中、オフィス内など、その感染源はいつあなたのところに訪れてもおかしくない。


 その影響は経済界にももちろん大きく打撃を与えたが、それを肌身で感じることは難しいだろう。何故ならば、皆マスクをするなどの変化はありつつも、毎日のように満員電車に揺られて、仕事へ出向いているのだから。仕事内容に多少の変化があったとしても、仕事がなくなることはない。


 政府の方針により、全国の小中高教育機関が全面的な臨時休校に入る中、大人たちは注意を張りながら、気が気じゃない日々を過ごしている。


 目に見えての影響が出てしまったのは、休日に行われているイベントの中止だろう。

 政府が大規模イベントの自粛を促したことにより、各業界で続々とイベントの中止が決まっている。


 各ミュージシャンライブの中止、アニメフェスタ中止、挙句の果てには、東京ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオジャパンも当面の間休園となるなど、影響は計り知れない。


 子供たちも休みになっても自宅待機ですることもない。

 大人たちは仕事から解放された休日に趣味に没頭できない。


 ストレス社会の日本に置いて、娯楽が無く休日を自宅待機で我慢するということが、どれほど大変なことであるかを、思い知らされているような気がしてならない。


 逆に言えば、今の時代はインターネットやゲーム、SMSが普及しているので、それほど困らないという人も多いかもしれない。

 人々が家にいる時間が増えたので、テレビ業界やネット通販などビジネスチャンスが増えたと喜んでいる業界もあるかもしれない。けれど、私のようなアウトドアの人間とっては、外出できないというのは苦痛でしかない。



 この暗いトンネルから抜け出すのはいつになるのだろうか?

 新型コロナウイルスの感染が完全に消息してから?

 そんなことを言っていたら、いつまでたっても娯楽は再開できないだろう。


 イベントの自粛は、私の趣味であるスポーツ業界にも、大打撃を与えた。

 Jリーグは三月十五日までの全試合の延期を発表。

 Bリーグも三月十一日までの全試合の延期。

 去年ワールドカップで旋風を巻き起こしたラグビートップリーグも三月上旬の試合を延期。

 大相撲も無観客でのとりくみが決定するなど、スポーツ娯楽の欠落は計り知れない。


 私は元々、スポーツ観戦が最高の休日、いわば最高のお祭りといっても過言ではないほど、心の安らぎにしてきた。それをすべて新型コロナウイルスから奪い取られてしまった今。


 多くの観客で埋め尽くされた会場で、お客さんが大きな歓声を上げる声、それに応えるようにして全力を尽くす選手たち。

 時に喜び合い、時に一緒に悔しんで悲しむ。


 そんな、大衆が喜怒哀楽入り混じった独特な雰囲気を味わえる、あの最高のお祭りの休日を取り戻せる日が、一刻も早く訪れて欲しいと願うばかりだ。


 予定では三月後半から、順次再開される予定となっているが、今後の新型コロナウイルスの拡大次第によっては、さらなる延期、中止も考えられる。


 少しでも拡大防止に努め、感染してしまった方々が、一日でも早く回復し、日常の生活に安心して戻ることができて、三月中旬ごろからの皆の休日という最高のお祭りを取り戻せることを願い、ここで筆を置きたいと思う。

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