終電乗換3分チャレンジ

 今日は久しぶりに高校の時の友達と仕事終わりに飲み、ついついはしゃいでしまい、気が付けば終電ギリギリの時間になってしまった。

 俺は、飲んでいた居酒屋から駅まで友達と歩いて、改札でそれぞれの方面へと別れた。

 自分が乗る電車のホームへと向かうと、丁度ホームに電車が到着した。

 電車に乗りこむと、週末前の金曜日ということもあり、車内は俺と同じように飲み会帰りのサラリーマンで混雑していた。


 ドアが閉まり、電車が出発する。

 先ほど最寄り駅までの経路をスマホでインターネットをつなぎ検索ところ、途中駅で乗り換え時間が3分しかなかった。

 乗り換え時間3分と書いてあれば、3分もあると考えるか3分しかないと考えるか、人によって違うだろう。

 または、ホーム同士が隣合わせの乗り換えでは、3分は余裕があると感じるかもしれないが、駅同士が改札を出て外を歩いて移動しなければならない場合の3分であれば、ヤバイと感じるだろう。


 俺が乗り変える駅は、運よく乗り換えの専用改札口がつながっており、比較的楽な乗換ではあるが、ターミナル駅のため乗り換え時間3分では、多少厳しい時間配分ではあった。

 普段も俺が会社に行く際に利用しているのだが、朝歩いて移動すると物理的に3分では乗り換えが不可能であった。

 もちろん朝のラッシュで人混みの渋滞が出来ているため3分で行けるところが、厳しくなっていることもあるだろうが、乗り換え時間3分では走らなければ間に合わないそう思っていた。

 俺は緊張な面持ちで乗り換え駅までの車内を過ごした。


 しばらくして運命の乗り換え駅に到着した、俺は開くドアの前にスタンバイして走る体制に入る。

 俺が乗っていた場所は運よく改札口へと続く階段の目の前に到着した。

 ドアの前には、俺と同じ電車への乗り換えをチャレンジする人たちがスタンバイしていた。



 電車が完全に停車し、ドアが開くまでの間車内が静まり返り、息を飲みこんだ。

 ドアの開く音と共に、俺は一気に駆け出した。

 スタートダッシュに成功し、階段を駆け上がる。

 ホームに降りてくる人を避けながら順調に階段を登り切り、進行を右へと変える。

 ここからは一直線の勝負だ。

 俺は懸命に走り乗換のホームへと急いだ。

 乗換の連絡改札口が見えてきた。

 時間は1分ほどが経過しただろうか。

 俺はICカードを改札口にかざし、改札を潜り抜けた。

 しかし、ここからが遠い、一本道の道幅が狭い連絡通路をひたすら駆け抜けていく。

 すると、前方から電車が到着する音が聞こえる。どうやら電車がホームに到着したみたいだ。

 俺はさらにスピードを上げ、ホームへと急ぐ。

 電車が完全にホームに到着した。

 時間は2分ほど経過しているだろうか。

 ようやくホームへと続く階段が見えてきた。

 なんとか間に合いそうだ、そう思った時だった。

 乗りたい電車から降りてきた人々が階段を登りきり、こちらへ向かってきた。

 行く先を邪魔されるものの、俺はスピードを緩め、人をかき分けるようにステップで交わしながら何とか前へと進んでいった。


 ようやく階段の前までたどり着いた。

 すると、発車ベルの音がホームから聞こえてきた。

 俺は慌てて階段を2段飛ばして駆け上がる。


「最終列車発車いたします。」


 車掌のアナウンスが聞こえ、発車ベルが鳴り止んだのと同時に階段を登りきる。


 俺は目の前に開いているドア目掛けてダイブするように駆け込んだ。


 俺の体が電車内に無事入った瞬間ドアが閉まった。

 見事に終電チャレンジは成功を収めた。


 ホームには、あと一歩間に合わなかった敗れた者たちが、息を大きく履きながら呆然としていた。

 そんな姿を気にする様子も見せずに電車は発車していった。


 そして、次の日。

 今日も同じように、終電乗換3分チャレンジは次の挑戦者を待ち構えている。

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