恵みの雨音
越後屋は寝床に入っているが眠ってはいない。
用心棒二人も同じ部屋で座っている。
交代番なのか一人は眠っていた。
屋敷内の近くには他に誰も居ない。
つまり三対一。
日を改めれば天井や床下は対策され、
用心棒も増えて侵入は困難になっただろう。
しかし犬影は今夜もう一度戻ってきた。
そして雨が降ってきた。
■
雨が侵入者の課題全てを解決する。
部屋には行灯が二つ灯っていた。
その一つを静かに湯呑で水を掛けて消す。
明かりが一つ消えた事でもう一方の行灯を用心棒が手に取った。
消えた行灯に近寄る用心棒に桶で水を掛ける。
「賊が居るぞ!」
叫んでもすでに暗闇の中。
千里眼の犬影以外どうしようもない。
用心棒二人と越後屋は斬り殺された。
■
翌朝、東町奉行の北条が越後屋殺害を知った。
越後屋は散々恨みを買っていたのだから殺されて当然でもある。
問題は北条自身の横領を知る者が居るかだった。
思えば先日、江戸の御庭番も返り討ちに遭っている。
義賊はかなりの手練れ。
奉行所にとっては無視できない義賊。
このまま放置すれば責任を取るのは北条でもある。
北条は義賊討伐を上申し、大坂城代松平も江戸も協力する事で同意した。
松平もさすがに反対は出来ない。
新たな御庭番の派遣と与力同心の増員が決まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます