必殺の仕事
与平を殺したのは、おそらく越後屋ではない。
越後屋は悪徳商人ではあるが、
与平を直接殺害できる程の度胸は無いはず。
つまり成敗すべき者は北条、越後屋。そして殺害実行犯。
■
犬影は越後屋屋敷の天井裏に居る。
いつでも越後屋を殺せるが、
その前に殺害実行犯を聞きださねばならない。
北条が金を受け取って帰って行く。
越後屋が一人になった。
犬影は越後屋に聞こえるように天井裏であえて音を立てる。
先ほどの会話を盗み聞きされたと思っただろう。
越後屋「曲者!曲者じゃー!」
騒ぎ立てる越後屋の元へ用心棒が集まって来る。
刀を持って来た男が二人、あとは屋敷の者達だった。
用心棒は二人か。
その様子を千里眼で確認しながら犬影は馬で淀川へと向かっていた。
お菊の入水自殺を止めなければならない。
■
草むらから声を掛ける。
犬影『お菊さんお待ちなさい』
お菊「え?」
犬影『月夜に現れる盗賊の事はご存知か?』
お菊「私は何も知りません」
犬影『犬神神社は働き手を捜している、赤子と共に神社で奉公なさい』
お菊「夫の務め先が許してくれません」
犬影『務め先は越後屋ですね、成敗します』
お菊「あなたはどなた?」
返事は無かった。
夜が更けるに連れて越後屋は震えあがり、
用心棒は眠気に襲われ始めていた。
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