お奉行さまを見ている
東町の奉行、北条は横領している。
打ちこわしや飢饉の度にばら撒かれる松平の私財。
善良な町人はその何割かを返しに来るのだ。
しかし松平に返ったことは無く、北条のふところへ入る。
■
ある夜のこと
北条「越後屋、おぬしも悪よのう」
越後屋「めっそうもございません」
越後屋は打ちこわしが起きる度に、
偽の被害を装って補償を受け取っていた。
そしてその何割かを北条に返していた。
■
その夜、犬神神社に女が赤子を捨てに来た。
やせ細った女が鈴を鳴らす。
賽銭箱に入れる金は無いようだった。
女は越後屋の使用人の妻お菊。
お菊「神さまお許しください」
お菊は赤子を置いてふらふらと淀川へ向かった。
■
北条「しかし使用人の与平。奴には妻と子供もいたはずだが?」
越後屋「へい、妻のお菊は遊郭で働かせます。
赤子は捨てるように言いました」
北条「むごいのう、
何の罪もない与平を殺しておいて打ちこわし被害を訴えるとは」
越後屋「与平もお菊も、身寄りがありやせんでした。
ばれる事はありやせん」
北条「ならせめて、わしがお菊で遊んでやろう」
■
その夜、犬影は与作の死体に刀傷がある事を確かめていた。
越後屋には腕の立つ用心棒が居るのか。
お菊が淀川に身を投げる前にかたをつけなければ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます