陽動返し
敵討ちは果たされた。
しかし名無しの権兵衛とは何者だったのか。
月影を暗殺したのは何故なのか。
何となく察しはつく。
江戸に嫌われている。
千里眼で大阪城下を見渡す。
打ちこわし現場に首なしの田吾作。
その自宅前には田吾作の首が落ち、屋内には妻お竹の死体。
身重だったお竹の腹はへこんでいる。
背後から毒殺された月影は赤子を連れてきた。
時系列は繋がる。
今夜の死体は他にはない。
東町奉行所は打ちこわし対応に忙しそうだ。
すでに実行犯達は逃げ切っている。
死者は出そうにない。
打ちこわしの損害にまた私財を充てるのだろうか?
大坂城代の松平は天守から城下を見ている。
大坂城の地下に広大な地下室と何本か抜け道が有る事に気付いた。
すごい仕掛けだと感心する。
■
きくゑは名無しの権兵衛の死体を放置して神社に帰った。
月影の死体と再び服を交換する。
丁稚自室に戻ると夜明け前だった。
眠気は感じない。
ただひたすら千里眼で怪しい者を捜し続けた。
名無しの権兵衛は死に、月影は死んでいない。
今日から自分が月影なのだから。
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