噂の月影
田吾作はなんとか一食分の食糧を得ただけに過ぎない。
月影は広がる飢えと治安の悪化を報告する為、
大坂城に戻った。
まだ起きていた大坂城代の松平へ天井裏から話しかける。
月影『殿、南の岡っ引き与作は飢え死に。
北の田吾作ももって数日。』
松平「うむ。江戸からはいい返事が無い。これ以上待てぬし意見しても通らん故、明日から私の米を城下へばら撒け」
月影『御意』
大坂城下には月夜に現れる謎の義賊の噂が広がり始めた。
■
一方、
田吾作の妻お竹の乳を飲み、きくゑは飢饉の中を育った。
表向き農民の田吾作一族は岡っ引きであり御庭番の御用達でもある。
つまりは忍者である。
きくゑは表向き町人の月影の家に丁稚奉公し、
育つにつれ天才的な忍者の才能を開花させていた。
■
数年後のある日、
大坂城下町で無慈悲で残虐な打ちこわしが起きた。
何度か続き、町人たちは月影による首謀者粛清を期待し始めている。
決まって月夜に現われる月影。
その夜も月が見ている中、
大商人の屋敷で打ちこわしが始まった。
月影は米を盗む者達を無視し、町人を殺そうとしている凶悪犯を捜す。
無抵抗に震える町人の寝床を天井裏から見て回ると、
町人に鎌を向ける田吾作が居た。
田吾作が町人を斬ろうとする瞬間、
月影は天井から飛び降りて田吾作の鎌を忍者刀で受け止めた。
月影「なぜだ」
田吾作『権兵衛』
月影『!』
田吾作が両手で鎌を押し込む。
月影は巴投げで田吾作を投げ飛ばした。
起き上がった田吾作の腹は月影の足に仕込まれた刃で切り裂かれていた。
江戸の御庭番、名無しの権兵衛。
大坂城代松平と義賊月影に江戸の陰謀が迫る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます